TKWO 「課題曲コンサート2022」 吹奏楽コンクールの課題曲、往年の名曲を披露

アンコールはスタンドプレーを取り入れ、在りし日の丸谷氏を思い出させる明るい楽曲で応えた

東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)による「課題曲コンサート2022――往年の名曲とともに」が2月17日、東京・新宿区の東京オペラシティで開催された。全日本吹奏楽コンクールを目指す中高生や吹奏楽ファンなど約1000人が来場した。

同コンサートは、全日本吹奏楽コンクールの「課題曲」の参考演奏を担当するTKWOが楽曲の演奏を披露するもの。東京では5回目となる。今回は、2022年度の課題曲を中心に、歴代の課題曲を含めてプログラムを構成。TKWO正指揮者の大井剛史氏が指揮を務めた。

前半の部では、第4回全日本吹奏楽コンクール(1956年、戦後初開催)の課題曲の一つである「行進曲『トム・タフ』」(E・ビンディング作曲)に始まり、2022年度の課題曲「やまがたふぁんたじぃ~吹奏楽のための~」(杉浦邦弘作曲、第31回朝日作曲賞)、「マーチ『ブルー・スプリング』」(鈴木雅史作曲)、「ジェネシス」(鈴木英史作曲)、「サーカスハットマーチ」(奥本伴在作曲)、「憂いの記憶―吹奏楽のための」(前川保作曲、第13回全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位)の計6曲が披露された。

今年度の課題曲委嘱作品「ジェネシス」を作曲した鈴木氏(写真左)と作品について語る大井氏

後半の部は『「課題曲V」の時代』をテーマに構成。「課題曲Ⅴ」とは、同コンクールの課題曲が2003年から5曲になって付けられた番号で、09年以降は全日本吹奏楽連盟作曲コンクールで第1位を受賞した作品にあたる。当日は、この中から「マーチ『列車で行こう』」(川村昌樹作曲、03年度)、「躍動する魂~吹奏楽のための」(江原大介作曲、09年度)、「香り立つ刹那」(長生淳作曲、12年度)、「きみは林檎の樹を植える」(谷地村博人作曲、14年度)、「メタモルフォーゼ~吹奏楽のために~」(川合清裕作曲、17年度)を演奏した。

アンコールでは、吹奏楽に貢献し、昨年逝去した丸谷明夫氏(元大阪府立淀川工科高校名誉教諭・吹奏楽部顧問、元全日本吹奏楽連盟理事長)を偲(しの)び、丸谷氏が初めて全日本吹奏楽コンクールに関西代表として参加した1974年度の課題曲「高度な技術への指標」(河辺公一作曲)を披露。スタンドプレーを取り入れ、軽妙な明るい演奏で観客の拍手に応えた。