第39回庭野平和賞 南アフリカの聖公会司祭 マイケル・ラプスレー師に

受賞者ラプスレー師のメッセージ

南アフリカで、私は解放運動に加わりました。アパルトヘイトの終焉に向けて闘争を続けたのは、私を含めさまざまな宗教や思想を信ずる人々でした。私たちは学問の場ではなく、生死をかけた闘いの中で諸宗教対話を学びました。ローマ教皇パウロ六世のお言葉にあるように、平和を欲するならば、正義のために働く必要があることを私たちは理解していました。

©2021 Father Michael Lapsley, SSM

手紙爆弾を受け取った私は、悪意と憎しみの標的になっていました。しかし、その後、世界各地の信仰者や善意の人々から、私の元に愛と祈りと支援のメッセージが届けられ、宗派を超えた人々の連帯が私を支えてくださったのです。そして、私の癒しの旅には、世界中の人々が付き添ってくださいました。私は、人々の癒しの旅の同伴者になることが、自らの召命であることを知りました。仲間と一緒に、「記憶の癒し研究所」を設立し、宗教、文化、思想を異にする人々と手を携え、歴史の傷を癒すお手伝いを始めました。「民衆の大主教」と称されたデズモンド・ツツ大主教(聖公会)が、私たちの支援者になってくださいました。

人類と母なる地球は、癒しを必要としています。ケープタウンの「記憶の癒し研究所」には、日本の政府と国民の皆さまから贈られた研修ルームがあります。私の父の年代の人々は日本との戦争を経験しました。息子である私がこの平和賞を頂くことに、私は特別な意味を感じます。

心より敬愛申し上げるヘルダー・カマラ大司教(第1回庭野平和賞受賞者、ブラジル)をはじめ、著名な歴代の受賞者の仲間に加えて頂けることを、私は大変光栄に存じます。

※カッコ内は編集部記載

第39回庭野平和賞の選考に当たった庭野平和賞委員会委員

▼委員長=サラ・ジョセフ氏(英国、イスラーム、ムスリムのライフスタイルマガジン「emel」CEO)▼庭野日鑛・庭野平和財団名誉会長▼ランジャナ・ムコパディヤーヤ氏(インド、ヒンドゥー教、デリー大学東アジア学部准教授)▼フラミニア・ジョバネッリ氏(イタリア、キリスト教、バチカン「人間開発のための部署」次官)▼ムハンマド・シャフィーク氏(米国、イスラーム、ナザレス大学諸宗教研究対話センター所長)▼ノクゾラ・ムンデンデ氏(南アフリカ、アフリカ伝統宗教、イカマグ協会会長)▼ソンブーン・チュングプランプリー氏(タイ、仏教、仏教者国際連帯会議事務局長)▼エイブラハム・スコルカ氏(アルゼンチン、ユダヤ教、マーシャル・T・メイヤー神学校学長)▼ムニブ・A・ユナン氏(パレスチナ、キリスト教、ルーテル世界連盟前議長)

※選考後、サラ・ジョセフ氏が退任し、ランジャナ・ムコパディヤーヤ氏が新委員長に就任した