カナダ先住民のバチカン訪問が延期(海外通信・バチカン支局)
12月17日から20日までに予定されていた、カナダ先住民の代表者のバチカン訪問とローマ教皇フランシスコへの謁見(えっけん)が延期されることになった。新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大に伴い、海外渡航による健康への不安と感染拡大の危険性を熟考したもので、先住民の代表者と同国カトリック司教会議が同7日に合同声明文を通じて公表した。
同司教会議は、訪問の延期を「苦渋の決断」としながらも、「3民族(ファースト・ネーション、メティ、イヌイット)の代表者の多くは高齢であり、都市から遠く離れた地域で生活していることを考慮した」と説明。オミクロン株の感染拡大が続いており、「世界の感染状況の変化は、彼らの大きな脅威になり得る」としている。
今後は、同株の感染力や感染状況を踏まえて、「政府と国際機関の指示に従い、バチカン訪問を再計画する」と発表。一方、バチカンは、日程を明らかにしていないものの、教皇が「カナダを訪問する意向である」とすでに公表している。
カナダでは、カトリック教会を中心に運営を委託された寄宿舎学校で植民地主義的な同化政策が行われ、15万を超える先住民の子供たちが犠牲となった。3民族が子供たちの霊を弔うためにも、「教皇の謝罪」に対する期待、それを求める声は大きい。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)