新宿教会 LGBT基礎講座 新宿区議会議員よだかれん氏の講演をオンライン配信

よだ氏は、トランスジェンダーである自身の経験を踏まえ、性的少数者の置かれた状況や、多様性を認めるために必要な法制度などを解説した

性的少数者への理解を深め、正しい知識を得て当事者の苦しみに寄り添うことを目指して、立正佼成会新宿教会は11月28日、「今さら聞けないLGBT基礎講座」を教会道場で開催した。当日は、新宿区議会議員でトランスジェンダーのよだかれん氏が講演。その内容をオンラインで配信し、会員や市民ら約120人が視聴した。同講座は、教団が会員の発心に基づく活動を応援する「私たちの“発”」応援プログラムの一環として行われた。

現在、日本の人口の約8.9%(11人に1人)が性的少数者といわれる。今回の講座は、性的少数者を支援し、多様な社会の実現を考えるために同教会の会員有志が結成した「佼成レインボー」が企画した。「私たちのすぐ隣にも、声を上げられずに苦しんでいる人がいる」という状況を多くの人に知ってもらい、差別や偏見のない社会を共につくっていきたいとの願いからだ。

レインボーのメンバーは、日頃からLGBTについての研修や講演を行っているよだ氏に講演を依頼。よだ氏は、出生時は男性だったが、自身の性的指向(恋愛対象)や性自認(自身が認識している性別)と向き合い、女性として生きることを選んだ経験を持つ。

当日、よだ氏は性的少数者の総称である「LGBT」の意味を説明。言葉としては、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(心と体の性が一致しない人)の頭文字を取ったものであるものの、これ以外にも性的指向や性自認の形は人それぞれに違って多様であり、「性とは、最終的には個体差です」と強調した。

また、自身が性的少数者だと家族にカミングアウト(告白)した際、母親はショックのため、数年間はその事実を受けとめきれない様子だったと述懐。当事者には、家族や周囲に理解してもらえずに苦しむ人も多いと明かした。その上で、第三者によるカミングアウトの強要やアウティング(性的少数者だと無断で広めること)は「暴力」であり、絶対にしてはならないと訴えた。

性的少数者の権利に対する世界各国の法制度も解説した。その上で、同性婚が法律で認められていない日本では、同性カップルでは相続権や医療行為の同意権が認められず、住居契約も難しい場合が少なくない現状を紹介。多様性のある社会を実現していくには、地方自治体が設けられる「同性パートナーシップ制度」の導入率を上げ、世論を動かすことが重要になると話した。

講演後は質疑応答が行われ、親として性的少数者と打ち明けた子供の受けとめ方や、多様性を認めるために求められる法律などについて意見が交わされた。

実行委員(49)は、「性的少数者であることに罪悪感を持つ人は多くいます。誰もが苦しむことなく、自らをありのままに受け入れられる多様性のある社会をつくっていかなければなりません。仏教では全ての人が尊いと説いており、佼成会の仲間と学びを深め、差別や偏見をなくしていきたい」と語った。