「諸宗教の連帯による傷ついた世界への奉仕」 司教協議会諸宗教部門主催シンポジウム
日本カトリック司教協議会諸宗教部門によるシンポジウム「諸宗教の連帯による傷ついた世界への奉仕」が11月27日、カトリック麹町聖イグナチオ教会(東京・千代田区)で開催された。立正佼成会の和田惠久巳国際宗教協力専任部長がパネリストの一人として出席した。当日の様子はオンラインでも配信された。
同シンポジウムは、昨年、世界教会協議会(WCC)とバチカン諸宗教対話評議会が『諸宗教の連帯による傷ついた世界への奉仕──コロナ危機とその後における省察と行動を求めるキリスト教の呼びかけ』と題する共同文書を発表したことを受けて行われたもの。
開会にあたり、同評議会議長のミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット枢機卿がビデオメッセージを寄せ、共同文書に込められた願いを語った。
この後、秩父神社の薗田稔宮司、曹洞宗久翠山法清寺の奈良修一住職、和田部長、富山大学の秋葉悦子教授(バチカン生命アカデミー理事)が発題。コロナ禍で明らかになった格差の状況など人類の課題に対して意見を述べた。
薗田宮司は、物質主義の生き方を改め、古来、日本人が育んできた万物のいのちを敬う倫理観を取り戻すことが大切と強調。奈良住職は、仏教の「一切皆苦」の教えを説明し、「この世は(自分の)思い通りにはいかない」との認識を深めつつ、困っている人に手を差し伸べる布施の生き方を促した。
和田部長は、共同文書に記された「いたみをともにする文化」とは、仏教の慈悲に通じると説明。本会でも同悲同苦の精神に基づき「一食(いちじき)を捧げる運動」による献金や支援に取り組んでいることや、コロナ禍の中で感染者を受け入れる佼成病院に会員が不足する医療用マスクを届け応援したこと、本部施設をワクチン接種の会場として貸し出していることなどを紹介した。
また、諸宗教の連帯による世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)の活動に触れ、「世界全体、さらに未来の人たちの幸せを願って生きること、対話・行動することが神仏の声を聞く宗教者の最も重要な役割」と述べた。
秋葉教授は、医学の進歩に対応した倫理規範策定のために創設されたバチカン生命アカデミーの取り組みを発表。全ての人に医療資源を公平に分配するために、国家や国際機関、宗教組織などがそれぞれの義務を果たす必要があると訴えた。