佼成学園中学3年の小竹さん・太田さん 「日本学生科学賞」都大会中学の部で最優秀賞

最優秀賞に輝いた小竹さん(左)と太田さん。新たな発見を目指し、今後も研究を続けたいと話す

佼成学園中学3年の小竹智人さんと太田陽(ひなた)さんがこのほど、科学コンクール「第65回日本学生科学賞」(読売新聞社主催)の東京都大会で中学の部最優秀賞に輝いた。同科学賞は、中学、高校生を対象に、物理、化学、生物、地学など各分野での優れた研究リポートに贈られる。

小竹さんの研究テーマは、『魚鱗はなぜキラキラしているのか』。中学1年の時に同校の「自然教室」で魚の生態を観察した際、淡水魚と海水魚の違いに興味を持った。特に鱗(うろこ)への関心を深め、構造や働きについて研究を始めた。

リポートでは、生息地ごとに魚の鱗を調べた結果を示し、海水魚の鱗は小型傾向にあると説明。淡水域と海水域を行き来する魚種は、それぞれの環境に適した形状に鱗を進化させている可能性にも論及した。

また、鱗の光沢度と生態の関係性も検証。さまざまな魚の光沢度を計測し、それらの生態と照らし合わせることで、光沢度の高い魚ほど群れをつくることが分かったと論述した。さらに、魚の群れは、水が濁るほど魚同士の距離が広がって集合性が弱まり、それぞれの行動量が減少するとした実験結果を提示。これらの検証から、鱗や体の表面の光沢は群れをつくる上で不可欠な役割を果たしていると考察した。

一方、太田さんは『新しい表現型メダカを創る』と題したリポートを作成。幼い頃から川でメダカを捕るのが好きだった太田さんは、鑑賞用に品種改良されたメダカの魅力を知り、3年前から趣味で飼育を始めた。その後、自ら新しい品種をつくることを思い立ち、研究に取り組んだ。

目指したのは、体の色が黒系で、後頭部と背面に青いラメ(金属光沢)があり、緋色(ひいろ)のひれを持つメダカ。まず、これらの要素を部分的に備える2品種を交配した後、必要とする要素を選別・保存して子供を誕生させる「累代」を繰り返した。その結果、第5世代で理想とするメダカが誕生した。

リポートでは、その過程を写真を示して説明。また、遺伝の基本法則とされるメンデルの法則に従って体の色が現れたと論じたが、それだけでは解釈できない部分もあり、遺伝子の発現には複数の遺伝子の相互作用が関係している可能性を示唆した。

両研究の指導にあたった石井学教諭(理科)は、「一つのテーマを長い時間をかけて探究した姿勢が素晴らしい」と2人の努力をたたえた。

「実験の環境を整え、温かく見守ってくれた先生方や家族に感謝します」と口をそろえる小竹さんと太田さん。今後も新たな発見を目指し、研究を続けたいと意欲を燃やしている。