教皇のカナダ訪問――先住民との和解を求めて(海外通信・バチカン支局)

バチカン記者室は10月27日、ローマ教皇フランシスコがカナダのカトリック司教会議から招待を受け、同国を訪問する意向であると明かした。訪問の目的は、「先住民との和解に関する司牧(指導)プロセス」を含めたもので、日程は決まり次第伝えられる。

カナダ政府は19世紀から1990年代まで、15万人を超える先住民の子供たちを強制的に家族から離し、寄宿学校で西洋文化、文明に同化させる政策を行った。同国カトリック教会トロント大司教区はこれに関する声明文を発表し、同化政策について「先住民の子供たちを、彼らの言語、文化、アイデンティティーから切り離すことを、連邦政府と、カトリック教会を中心とするキリスト教諸教会が実行した、恐るべき苦痛の源泉となる体制であった」と説明した。

カナダでは連邦政府によって各地に約130の寄宿学校がつくられ、キリスト教諸教会に運営が委託された。数千人の子供たちが、病気や教師たちの不注意による事故、性的虐待などで死亡したとされる。

政府は2008年、先住民に対して植民地主義的で、非人道的な同化政策を行ってきたことを公式に謝罪。カトリック教会を除く他のキリスト教諸教会も謝罪した。

今年5月には、同国西部ブリティッシュコロンビア州のカムループスにあった寄宿学校跡から、墓標もなく、記録も残っていない215人の子供たちの遺骨が発見された。この後、中西部のサスカチュワン州、ペンラカット島(旧クーパー島)にあった寄宿学校跡でも同じく子供の遺骨が発見され、国民に大きなショックを与えた。

こうした負の歴史と向き合うカナダのカトリック教会は、トロント大司教区の声明文を通し、「カトリック教会の教師たち(神父、修道者、信徒)による虐待、不注意による事故や職権の乱用によって、子供たちの尊厳を奪ったことは否めない」と非を認め、「その償いをしなければならない」と謝罪した。

一方、先住民と政府によって設けられた「真理と和解委員会」は、「ローマ教皇の公式謝罪」を要請。同国のカトリック司教会議は、今年12月17日から20日まで、「ファースト・ネーション」「メティ」「イヌイット」の代表者がバチカンを訪問し、教皇と懇談する予定と発表した。その席上で、教皇が公式に謝罪するものとみられていた。

これに対し、教皇は自身が同国を訪れ、先住民たちと会うことを選択した。報道によると、12月にバチカンで予定されている教皇と3民族の代表者たちとの面会は予定通り行われ、教皇のカナダ訪問に向けた会合にもなるとのことだ。

9月24日に「先住民に対する謝罪」を表明していたカナダのカトリック司教たちは同27日、3000万米ドルに及ぶ先住民支援プロジェクトを公表した。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)