10万人が犠牲となった東京大空襲の慰霊法要 本会台東教会の壮年部の願いで

慰霊法要では、平井教会長を導師に読経供養が営まれた

一夜にして10万人を超える犠牲者を生んだ「東京大空襲」から72年、立正佼成会台東教会主催の第1回「言問橋東京大空襲慰霊法要」が3月26日に東京・台東区の隅田公園内で行われた。

「東京大空襲という戦争の惨禍を忘れず、亡くなった地域の犠牲者の存在に目を向けたい」。次世代へ戦争体験を語れる人も少なくなる中、自分たちで歴史を語り継いでいくため、壮年部員が法要の実施を発案した。

昭和20年3月10日未明、東京上空には米軍爆撃機が来襲し、焼夷弾の雨を降らした。都市部への無差別爆撃が実行され、言問橋(ことといばし)には当時、爆撃を逃れる人々が押し寄せた。

橋上には熱さで命を落とした人々の遺体が重なり、さらに、火風に耐え切れずに隅田川に飛び込んで多数の犠牲者が出た。また当時、男性の多くが出征していたため、同空襲では多くの女性や子供が犠牲となった。同教会の会員らは、事前学習でそうした当時の様子を学び、慰霊法要に臨んだ。

当日は、花や果物、お菓子が追悼碑に供えられ、服部征夫台東区長、白眞勲参議院議員などの来賓、会員ら約70人が参列。同教会の平井孝昌教会長と区内の浄土宗光照院・吉水岳彦副住職の導師による読経供養や、焼香が行われ、慰霊の誠を捧げた。

「追悼碑の存在も、今なおこの地に遺骨が埋まっていることも知りませんでした。法要を通して、少しでも安らかになってもらえたら」と女性会員(74)。実行委員長の壮年部員(43)は、「区の協力もあり、実際に被災された方がいた現地で慰霊ができました。今後は他教団、区民の皆さんと共に、一人ひとりが戦没者に目を向けられる場にしていきたい」と語った。