各地でオンラインでの平和学習 青年部員対象 講演会やSNSでの発信なども

参加者は原子爆弾の恐ろしさを実感。平和の尊さをかみしめ、思いを語り合った(宮崎教会提供)

戦後76年を迎えた今夏、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中でも、立正佼成会の各支教区、教会では青年部員を対象にしたオンラインでの平和学習が実施された。

沖縄戦を知る

中京支教区は6月6日、7月4日、同25日の3回にわたって沖縄戦について学び、平和を考える「高校生の翼」をウェブ会議システムを用いて開催した。毎回、11教会から学生部員ら54人が参加した。

第1回では「平和とは何か」について考えるグループワーク、第2回では太平洋戦争開戦に至る経緯や沖縄戦の実相を学ぶ研修を行った。第3回では、沖縄平和祈念資料館友の会の仲村真事務局長、上原美智子副会長を講師に学習会を実施。この中で仲村氏は、沖縄戦と、日本にある米軍施設の約7割が集中する沖縄の現状を解説した。

沖縄平和祈念資料館友の会の上原副会長

上原氏は沖縄戦の体験を詳述。9歳の時に米軍の攻撃から逃れるため、幼い4人のきょうだいを連れてガマ(自然洞窟)に逃げ込んだものの、同じ集落の住民から生後8カ月の弟が泣きやまないことをとがめられ、爆撃の恐怖におびえながら、サトウキビ畑に身を潜めた当時の様子を語った。その上で、「将来にわたり平和な世の中が続くよう、私たち戦争体験者の話を語り継いでほしい」と訴えた。

この後、沖縄平和ネットワークの北上田源事務局長が、沖縄県営平和祈念公園内にある「平和の礎(いしじ)」や「平和祈念堂」などを案内。参加者全員で読経供養を行った。

「非核」への願い

宮崎教会は、今年1月に「核兵器禁止条約」が発効したことを受け、「青年の日」の取り組みを兼ねて8月8日にオンラインを活用した平和学習会を行った。青年部員52人が参加した。

参加者は、読経供養の後、広島での被爆体験を題材にしたアニメ映像作品を視聴。核兵器の恐ろしさを学び、命の尊さを見つめ直した。作品の基になった体験手記の朗読、グループ別法座に続いて、参加者は、平和への思いをカードにつづった。「思いやりの気持ちをもって優しい言葉で触れ合いたい」といった願いが記された。

世田谷教会は8月8日、学生、少年部員を対象に「夏の平和学習会2021」を開催。部員ら25人が視聴した。平和の大切さを伝える絵本の読み聞かせなどを通して、同教会がこれまで取り組んできた平和学習会の様子を動画で振り返ったほか、「親子で取り組むゆめポッケ」「アフリカへ毛布をおくる運動」の支援国に関するクイズで、活動の意義を確認し、平和への祈りを捧げた。

三鷹教会は、沖縄の「慰霊の日」(6月23日)、広島の「原爆の日」(8月6日)、長崎の「原爆の日」(同9日)にそれぞれ、青年部員約40人に向けてSNSで平和へのメッセージを発信。全員で犠牲者を追悼し、平和への祈りを捧げた。

一方、奥羽支教区は8月8日、東日本大震災の犠牲者を追悼し、震災の教訓から学ぶ「高校生平和学習会」を実施。部員21人が視聴した。

学習会では、岩手・釜石市鵜住居(うのすまい)町の防災学習施設「いのちをつなぐ未来館」で語り部を務める川崎杏樹(あき)さんが講演。震災時、過去の教訓を生かして速やかに中学校から高台に避難し、津波から逃れられた体験を語り、防災教育の大切さを訴えた。また、震災犠牲者の慰霊追悼施設「釜石祈りのパーク」からの中継を受けて慰霊供養を厳修。慰霊碑前の献花台には、同支教区の10教会から寄せられた1400羽の折り鶴が奉納された。