新宗連が菅首相に「靖国神社の政治利用に対する意見書」を提出
新日本宗教団体連合会(新宗連)信教の自由委員会は7月27日、鈴木裕治委員長(妙智會教団理事)名による「靖国神社の政治利用に対する意見書」を菅義偉首相に提出した。
菅首相が、昨年10月と今年4月に行われた同神社の例大祭に合わせ、内閣総理大臣名で真榊を奉納したことに対するもので、官房長官を務めていた間は行っていなかった真榊奉納を首相就任後に始めたのは、政治的立場を意識したためと受け取られかねないと危惧を表した。同日、鈴木委員長が、同政治委員会の力久道臣委員長(善隣教教主)と共に東京・千代田区の自民党本部を訪れ、同党組織運動本部長の小野寺五典衆議院議員に手渡した。
意見書では、新宗連として、「戦争犠牲者の慰霊・追悼は国民それぞれが自身の信仰に基づいてなされるべき」との考えであることを改めて表明した。その上で、国会議員個人としての「信教の自由」を否定するものではないものの、首相という「公人」による同神社への政治的立場に基づく関与は、特定宗教の「援助・助長」にあたり、「当該宗教が戦争犠牲者の慰霊・追悼においては他のものよりも価値が高く、より『正式』なものであるとの評価やイメージを政府が国民に示す行為」になり得ると指摘。憲法に定める「政教分離」原則に違背し、他の宗教の「信教の自由」を侵害しかねないとの懸念を表明した。
さらに、同神社に対するこうした関与は、純粋に宗教的なものではなく、支持者へのアピールといった政治的な意図がうかがえるとし、「政治家が宗教団体を政治利用することは当該宗教の宗教性を毀損するもの」と憂慮の念を示した。現政府に対し、「政教分離」の原則に基づいて賢明な判断と行動を取ることを要望した。