佼成学園女子高3年の荒井さん 産経ジュニア書道コンクールで産経新聞社賞

「先が見えない時も、書くたびに上達してきた経験を頼りに、書き続けました」と話す荒井さん

佼成学園女子高校3年生の荒井理紗子さんが「2021産経ジュニア書道コンクール」(主催・産経新聞社、産経国際書会など)の高校生部門で、最高賞となる産経新聞社賞を受賞した。

同コンクールは、幼年から高校生までを対象に、書写、書道の普及・発展を目的に毎年開催されている。今年は、国内外から、1万440点の作品が寄せられた。

荒井さんは、中国・唐時代の書家・顔真卿(がんしんけい)が、安史の乱で非業の死を遂げた親族を追悼するために記した弔文『祭姪文稿(さいてつぶんこう)』から「毎慰人心方期戩穀何圖逆賊間釁」(あなたは常に人を慰め、やがては出世するだろうと期待されていたのに、逆臣が朝廷の隙をうかがい……の意)の一節を揮毫(きごう)した。顔真卿の深い悲しみを想像し、書に込めた。

荒井さんは、書道が趣味の祖母と母親の影響により、幼い頃に書を始め、8歳の時に「書道パフォーマンス甲子園」を見て、音楽に合わせて大筆を振るう高校生たちの演技に感動。大会に出場したいとの思いは年々膨らみ、中学2年生の時、神奈川・横浜市の中学校から、書道部の環境が整う佼成学園女子中学校に転校した。同大会出場という目標に向け、部活のほか自宅でも練習に励んだ。

しかし、書道展に応募しても思うような結果が得られなかった。また、昨年は新型コロナウイルスの感染拡大により部活動もできず、大会も中止になり、気持ちが落ち込んだ。そんな時、「あの時頑張ってよかったと思える日が必ず来るから」という母親の励ましで、心を切り替えることができた。〈書に良い悪いはない。どういう作品にしたいのかが重要〉との、原点を思い出し、さらに練習に励んだ。

今回の受賞で周りの支えに感謝を深めた荒井さん。「手書きの文字には、書き手の人柄やその時の感情が表れる。だから、書は人の心を動かすのだと思います。今後は、海外の人にも感動してもらえるような作品を書きたい」と話す。

同コンクールでの受賞作品は、7月27日から8月3日まで、東京・台東区の東京都美術館で展示される。