NGO活動に従事する個人を表彰 「アーユスNGO大賞(茂田賞)」に市民外交センター共同代表の上村英明氏

2020年度の「アーユス賞」受賞者と同ネットワークの松本智量理事長(右)

NPO法人アーユス仏教国際協力ネットワークによる「アーユス賞授賞式」が3月30日、東京・港区の浄土真宗本願寺派光明寺で行われた。

同団体は、宗派を超えて僧侶が集まり、1993年に設立された。パートナーとなるNGOを支援して貧困や環境破壊、紛争や人権侵害といった問題に取り組む。創立20周年を機に、初代理事長の故・茂田真澄師の提唱によって賞が設けられた。茂田師は、同団体や庭野平和財団、シャンティ国際ボランティア会(SVA)などが中心となって進めた「仏教NGOネットワーク」の設立に尽力。仏教精神を基に平和のために奔走した。一昨年に逝去。64歳だった。

「アーユス賞」には、国際協力活動に多大な功績があった個人を表彰する「NGO大賞(茂田賞)」、今後の活躍が期待される有望な人材への「NGO新人賞(奨励賞)」、アーユスの活動への協力に謝意を示す「特別功労賞」の3賞が設けられている。今回からNGO大賞に別称として「茂田賞」が加えられた。

茂田賞は、恵泉女学園大学教授で、市民外交センター共同代表の上村英明氏が受賞。同センターでアイヌ民族など先住民族の人権をはじめ、環境保全に取り組んできた。「ソーシャル・ジャスティス基金」の運営委員長として、市民による民主主義の推進の政策提言などにも尽くしてきた。

新人賞の受賞者は、NPO法人シェア=国際保健協力市民の会で支援者サービスを担当する末永明日香氏、NPO法人パレスチナ子どものキャンペーンの海外事業を担当する田浦久美子氏。特別功労賞には、浄土宗西山禅林寺派宝泉寺(愛知・津島市)の伊藤信道住職が選ばれた。

当日は、『コロナ禍に生きる――困難を共に乗り越えよう』をテーマに受賞者によるトークセッションも行われた。受賞者からは活動の状況が説明され、厳しい生活を送ってきた人々が、コロナ禍で一層過酷な状態に追い込まれている現状が報告された。

一方、長年支援活動を展開する地域では、これまで支援を受けてきた人々が手洗い場の設置や、難民キャンプで感染者に対する買い物支援に取り組むなど、主体的に行動する住民の姿が「大きな変化」として紹介された。

受賞式後、上村氏は、「先住民族、さらに外国人を含め、この国に誰もが『この社会は良い社会だ』と言える社会をつくることが、日本の価値を上げると思います。そうしたことに人々の目が向くよう、努めていきたい」と話した。