「諸宗教者が平和への提言を公表していたミャンマーで 軍がクーデター」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

核兵器禁止条約に署名を――オーストラリアと英国のカトリック司教会議

核兵器禁止条約が発効された1月22日、オーストラリアのカトリック司教会議「社会正義委員会」のテリー・ブラディー司教(シドニー補佐司教)は、スコット・モリソン同国首相宛てに「同条約に批准した国々に追随し、オーストラリアも署名するように」と訴える公開書簡を送付した。

同書簡は、聖座(バチカン)を含む国連加盟国の多くが批准した同条約にオーストラリアが未署名であることを指摘。「核兵器の廃絶が世界平和構築のための大きなステップの一つである」と主張している。

加えて、人類の「共通の家(地球)」を完全に破壊する可能性を持つ核兵器による抑止論は、21世紀の多極世界では平和と安全保障の基盤にはなり得ないと警告。核兵器の存在そのものが、意図的、偶発的な(使用の)危険性を持つと指摘し、「恐怖を助長し、信頼関係を危機に陥れ、対話を圧迫する」ものであると伝えた。さらに、「あらゆる核兵器の使用は、本質的に無差別(な破壊)」であり、時間や空間を超えて多大な影響を与える非倫理的なものだと訴えた。

イングランド、ウェールズ、スコットランドのカトリック司教会議は、同条約の発効に先立つ21日、英国政府に対して「核兵器の保有を放棄し、核兵器禁止条約に批准するように」と訴える声明文を公表した。この中で、英国のカトリック司教たちは、同条約を「核軍縮へ向けての歴史的な一里塚」と評価。対話、正義、人間の尊厳性、地球環境の回復につながるとともに、平和構築を強化するための好機であるととらえている。

また、核兵器の廃絶は、「倫理的、人道的な義務である」と規定し、「大量破壊兵器の製造、維持、改造に使用される資源を、社会のより貧しく、より傷つきやすい人々と、共通善(公共の利益)に使用するべき」と訴えている。

さらに、核兵器だけでなく、通常兵器も政府が管理に関する規制を強化し、世界で多くの生命を奪い続ける、あらゆる兵器の生産と売買の問題にも対処する必要性を促している。

最後に、宗教者として「等しい尊厳性の内に人間を創造した神が、私たちの心の中に友愛の精神を浸透させ、飢餓、貧困、暴力や戦争のない健全な社会と、より尊厳性のある世界を構築できますように」と祈りを捧げている。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)