「一食地域貢献緊急支援プロジェクト」 コロナ禍で困窮する人々を支えるため 86教会が201団体に助成金

「旭川いのちの電話」の小林事務局長(右)に支援金の目録を手渡す堂前惠司旭川教会長(写真・同教会提供)

新型コロナウイルス流行の被害への緊急対策として立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会が行ってきた「一食地域貢献緊急支援プロジェクト」が、12月1日に終了した。同プロジェクトは、各教会が同運営委員会に申請後、「一食を捧げる運動」による浄財を使って混乱する社会を支える団体を支援し、地域に貢献するもの。6月のプロジェクト開始から半年間で86教会が参加し、NPO法人など201団体を支援した。総額4213万9450円が助成された。

「緊急事態宣言」が発令されて以降、経済活動が低迷し、生活に困窮する人が増えている。こうした状況を反映して、各教会が助成した全201団体中、62団体が子ども食堂やフードバンク、弁当配布などの食料支援に取り組む団体だった。不登校の子へのサポートや無料塾といった子育て支援は51団体を数えた。

福祉団体への助成も多かった。感染を防ぎながらの高齢者や障がいのある人への援助は緊張と不安が大きいほか、コロナ禍で精神的なサポートを求める人も増えている。旭川教会は病院を含む3団体を支援。その中の「旭川いのちの電話」は自殺防止を主な目的に、悩み苦しむ人の電話相談に当たってきた。地域の高齢化などで相談員が不足しがちだったが、同ウイルスの流行、自粛の長期化などにより減少傾向にあった自殺者数が急増し、相談員の募集、相談窓口の整備が急務となった。

小林暉親(てるちか)事務局長は、「この電話は生きづらさを抱える人にとって最後の砦(とりで)です。ご支援を糧に今後も相談員の育成に力を注ぎ、誰もが安心して暮らせる社会を築いていきたい」と話した。

高岡教会では、これまでの活動で縁のある11団体にコロナ禍の影響について聞き取りを行った。影響の深刻度や支援の緊急度を検討し、福祉関連の4団体に助成した。その一つで、障がいのある人の就労をサポートするNPO法人「b-らいふ」では、利用者の観光バス会社などでの就労を支援していたが、4月以降、会社の業務が停止になり、働けなくなった。利用者の社会参加や生きがいを支えるため、近隣の商業施設の特設コーナーで手作り弁当の販売なども行った。だが、仕事量が少なく、現在は就労時間の短縮を余儀なくされている。

永森栄一理事長は、「今回のご支援を生かして事業所が運営する飲食店の看板を作ります。集客を促して利用者が働ける環境をつくりたいのです」と意気込みを語った。

「b-らいふ」はコロナ禍でも利用者が社会参加できるよう、企業などと連携して就労サポートを続ける(写真は市役所の清掃作業。同法人提供)

一方、諫早教会が支援するのは、NPO法人「さをり倶楽部」が運営する福祉作業所「さをり工房ながさき」。ダウン症のある18歳から42歳までの約40人が通い、織物でバッグや帽子などを仕立て、販売している。しかし、コロナ禍の影響で、3月以降は出店を予定していたイベントが軒並み中止になり、例年に比べ売り上げが7~8割減少した。利用者のやりがいを支えるため、マスク製作を始めた。厳しい状況の中、作業所を開き続けるため努力を重ねる。

上野左千子施設長は、「皆、作業所に通うことを楽しみにしてくれているので、何とか頑張らなければという思い。支援先に選んで頂き、大変感謝しています」と話した。