オンラインでの法座 コロナ禍の中で各教会で取り組み進む

会員たちはオンライン法座で、サンガの顔が画面に並ぶと、離れていても、つながれることを実感している(写真提供=米沢教会)

新型コロナウイルスの感染拡大により、集っての会話が難しい中で、立正佼成会ではインターネットのウェブ会議システムを使った“オンライン法座”に取り組む教会がある。オンラインでの教会長会議や教会役員の会議などを行ってきたノウハウを活用して、手探りで始めた。

本来の法座は、法座主を中心にして会員たちが車座になり、日常生活の悩みを教えに照らして解決の道を学ぶ場、人生の問題について語り合う場として行われてきた。本会の“いのち”といわれ、基本信行の一つ。同ウイルスが流行し、教会道場に集うことが難しくなった中で、オンラインでの法座が行われ始めた。画面に会員たちの顔が並んだところで、題目を唱えて法座が始まる。

米沢教会では5月から、「よねっと(米沢+インターネット)法座」を実施している。現在は月に8回ほど。毎回、法座主を務める内田耕市教会長が、インターネットで配信される大聖堂の式典での庭野日鑛会長の法話をかみしめて伝え、庭野日敬開祖の著書『瀉瓶無遺(しゃびょうむい)』や庭野会長の著書『心田を耕す』の一節を紹介してスタートする。この後、自宅にいる参加者が日常生活での喜びや学び、家庭での悩みなどを打ち明け、教会長が「結び」として教えに照らしてアドバイスしていく。

会員の中には通信機器に不慣れな人も少なくなく、当初は、感染対策を取りながら得意な人がパソコンやスマートフォンの操作方法を教えることも多かった。これを機に初めてスマホを手にした人もいた。緊急事態宣言が解除され、状況が落ち着き始めると、教会道場の法座席のテレビに法座の画面を映し、希望者に視聴できるようにした。

毎回、参加している女性会員(71)は、「『よねっと』で教会長さんとお話をする機会を頂けて、心の支えとなっています。皆さんのお顔も見られて、法座の後は晴れやかな気持ちになります」と語った。

それぞれの生活に適応できるメリット でも、万能ではなく……

津教会では、青年婦人部長(47)の提案でオンライン法座の取り組みが始まった。5月、オンラインで開かれた根本仏教の研修の際、班別法座が終了時間を過ぎても終わらず、熱心に行われていたことから、青年婦人部長は「みんな、法座を求めているのでは」と考え、片山祐希教会長に提案した。

自宅から手軽に参加できる法座が、育児で忙しい母親や教会から遠方に住む会員に好評を博している(資料写真)

青年婦人部では7月から、月に2回、教会長が法座主を務める同法座を開始。毎回10人前後の参加があり、部員が口にする、育児や夫との関係、職場での人間関係の悩みなどに耳を傾け、思いを分かち合うことで精進の糧になっているという。特に育児で家を空けられない母親や、教会から遠方に住む会員に好評で、結婚で地元を離れた人が参加し再会を喜んだ日もあった。

同法座は、青年部や壮年部でも行われるようになった。ただ、オンライン法座は万能ではなく、機器の操作が苦手な人や自宅では信仰の話をしにくい部員もいて、青年婦人部長は「部員さんたちの事情を酌んで、今まで以上に寄り添っていくことが大事」と話している。

状況に合わせて工夫 デジタルとリアルを融合

一方、20年間、夜間法座を続けてきた高岡教会壮年部は、コロナ禍で集えなくなった4月から7月まで、荒川公男教会長を法座主に支部部長が集ってのオンライン法座を開催。最初はウェブ会議システムの操作に手間取り、「アプリがインストールできない」「音が出ない」などの不具合が生じてスムーズに進行できない日もあったが、壮年部スタッフが説明書を作って各家庭に配布し、全員が参加できるようにした。

法座では、コロナ禍による不況の影響で仕事の先行きが見えない不安や、職場での悩みなどが多く語られた。男性会員(57)は、「仕事量や部下のメンタルヘルスなどに変化があり、これまでになく悩みました。一番大変だった時に法座でサンガ(教えの仲間)に思いを聞いてもらい、悶々(もんもん)とした気持ちが楽になりました」と言う。

8月以降は感染状況が落ち着いたため、感染防止策を徹底し、場所を教会道場に限って少人数の対面による法座も試みている。さらに教会独自のYouTube配信やウェブサイトを活用し、教えを伝えている。

壮年部長(61)は「オンラインでつながって皆で助け合い、今は限られた時間でも顔を見て、話をするだけでホッとします。大変だったからこそ、部員たちとの絆を改めて感じることができました」と、状況の変化に合わせて法座を工夫する意味合いをかみしめた。