「核兵器なき世界」に向けた歴史的な一歩と歓迎 本会が核兵器禁止条約の発効要件成立を受け声明

2017年9月20日に国連本部で行われた核兵器禁止条約の署名式。ここから発効に向けて一歩を踏み出し、今年10月24日、必要な50の国と地域の批准に達した(UN Photo/Kim Haughton)

10月24日に核兵器禁止条約の批准が50の国や地域に達し、発効要件を満たしたことを受け、立正佼成会は同28日、これを歓迎する声明文を発表し、教団ウェブサイトに掲載した。

核兵器禁止条約は、核兵器の使用、開発、実験、生産、製造、保有などを禁じる内容。核抑止力の根幹となっている「核兵器を使用する」との威嚇も禁じ、核兵器を全面的に禁止した初めての国際条約だ。2017年7月に国連本部で122カ国の賛成により採択された。今年10月24日にホンジュラスが批准し、批准国・地域が条約の発効に必要な50に達し、来年1月22日に条約が発効することが決まった。

条約の成立から今回の発効決定に至るまで、非核保有国や国際NGO、被爆者団体などが連携して条約の推進に努めてきた。本会も世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)を通じて協力している。一方、核兵器保有国や、米国の「核の傘」に依存する日本は条約に反対の立場だ。

本会の『核兵器禁止条約の50カ国・地域批准達成を歓迎します』と題する今回の声明文は、全理事の承認を経て発表された。冒頭、「ここに至るまで75年に渡り、核兵器廃絶を願って筆舌に尽くしがたい努力を積み重ねてこられた皆さま、とりわけ被爆者の皆さまに、深く敬意を表します」と記されている。

さらに声明文では、核抑止論は核兵器という暴力装置による威嚇であり、そこにあるのは不信や疑念を背景にした「恐怖による均衡」と指摘。真に求めるべきは信頼に基づく安全保障であり、全人類にとっての安心であると強調し、核兵器の開発や保有、使用だけでなく威嚇も禁止する核兵器禁止条約の意義を強く認めた。

本会の核兵器廃絶の取り組みにも言及。庭野日敬開祖が、1963年に「核兵器禁止宗教者平和使節団」の一員として各国を訪れ、日本の宗教者と共に全面的核兵器禁止を世界に訴えて以来、会員が核軍縮・廃絶のための署名運動や中高生の広島・長崎での平和学習などに取り組んできたことを説明した。78年の第1回国連軍縮特別総会(SSDI)では、庭野開祖がWCRP/RfPを代表してスピーチに立ち、当時の米ソ首脳に向けて「危険をおかしてまで武装するよりも、むしろ平和のために危険をおかすべきである」と語り、軍拡競争による「恐怖の均衡からの脱却」を呼び掛けたことも紹介した。

その上で、改めて核兵器禁止条約は、「世界の良心の賜物」であり、発効要件の達成は「核兵器なき世界」に向けた歴史的な一歩とたたえた。一方、核兵器廃絶の道は途上であり、同条約に参加していない日本政府に対して、核兵器禁止条約への署名と批准を要望し、「唯一の戦争被爆国」として国際社会を牽引(けんいん)してほしいとの願いを表明。本会会員は仏教徒として今後も、宗教界をはじめ各界の識者や多くの市民と連携、協力し、核兵器のない世界に向けて努力すると誓いを新たにしている。

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