サンガをつなげる教会独自の通信紙を発行
新型コロナウイルスの影響を受けて、大勢が集うことが難しい状況が続いている。こうした中、立正佼成会の各教会では会員同士で情報を共有し、サンガ(教えの仲間)のつながりを保つツールとして独自に通信紙を発行し、活用する取り組みが増えている。デジタル通信機器が苦手な人の事情も考慮してだ。庭野日鑛会長の法話、教会長のメッセージ、教会の状況、サンガの近況報告など内容に工夫を凝らし、豊富な情報を掲載して会員に届けられている。
朝霞教会は5月から、月1回ほどの割合で教会通信「あさかの太陽」を発行。A4判用紙に教会長のメッセージや教会の運営状況を掲載し、郵送やポスティングで会員に届けている。青年部員には通勤・通学中にも手軽に読めるようにと、“デジタル版”も製作。紙面版の情報に加え、カラー写真を多用し、青年五部長が部員に取材した自粛生活での暮らし方や趣味、コロナ禍の終息後にしたいことなどを紹介している。専用のスマホアプリを使って製作し、SNSで部員に送っている。
編集にあたる青年女子部長(25)は、「部員さんに楽しんでもらえるようにと、さまざまなコンテンツを織り込みました。取材、製作を通して皆さんとやりとりができてうれしい」と語る。
盛岡、横手、所沢、萩教会などでは、コロナ禍を過ごす会員たちの心境や、その中での気づきを紙面で紹介している。盛岡教会は、教会通信にはがきサイズの用紙を添えて、会員から「盛岡だくさんのありがたい話」も募集する。さらに毎月、支部長からの情報を基に会員に取材して話題を掲載。盂蘭盆会(うらぼんえ)を自宅で行い、家族で読経供養ができた喜びなどを伝え、それぞれが得た功徳をサンガで分かち合う。
教会通信を作る教務部長(55)は、「コロナ禍だからこそ気づけたことや、有り難いと感じた話など、たくさんの話題が寄せられています。会えなくても、サンガが頑張っている姿を知ると励みになります」と話す。
さらに、豊島、中野、京都教会などでは、庭野日敬開祖の法話や法華経の解説、生活に役立つ豆知識などを紹介。コロナ禍での生活の指針を提供している。
12年前から「平安月報」を発行する京都教会では、同ウイルスの影響で会員が集えないため従来のように発行を続けられるかと危ぶまれた。しかし、「大変な時期だからこそ、心をつなぐ紙面を」との思いで製作を継続。読者の目線で内容を検討し、コロナ禍においてもマスク作りに励む会員の様子などを積極的に取り上げた。会員への配布には電子版も活用した。
編集スタッフ(53)は、「当初、機関紙誌が届かない状況で、『平安月報』を心待ちにしている会員さんが多くいらっしゃいました。改めて、文書の持つ力に気づかされました」と話す。
このほか、親しみやぬくもりを感じてもらえるようにと、紙面に教会役職者の似顔絵を載せているのは福島教会。包括範囲が広く、多くの地域道場を抱える大分教会では、新たに発行した通信紙を布教のツールとして駆使する。北教会では壮年部員向けの新聞が作られ始めた。今、さまざまな取り組みを通してサンガのつながりが深められている。