終戦から75年の節目 大聖堂で「戦争犠牲者慰霊・平和祈願の日」式典 (動画あり)


回向文

本日、終戦記念日にあたり、本仏釈尊の御前(みまえ)において仏弟子日鑛、謹(つつし)んで申し上げます。

本日の法要は、先の世界大戦をはじめ、すべての戦争で犠牲となられた諸精霊、併(あわ)せて、今なお続く紛争・内戦・テロなどで犠牲となられた諸精霊、さらに有縁(うえん)・無縁(むえん)の諸精霊に対して、釈尊(しゃくそん)の本懐経(ほんがいきょう)・法華経の読誦を通して、真心からの回向供養を捧げるものであります。

わが国は、戦後七十五年の歳月(さいげつ)を通じて、平和憲法を基(もと)に、戦争のない平和国家として歩み続け、豊かな発展を遂げて国際社会へも大きく貢献しております。

この事は偏(ひとえ)に先の大戦で、尊い「いのち」を犠牲にされた、多くの御霊(みたま)の礎(いしずえ)の上に築かれたものであることを、私(わたくし)たちは、常に忘れることなく心に刻み、仏教教団の責務として、悲惨な戦争体験や平和への願いを子々孫々にまで語り継いでまいります。

そして、人々の心平らかなることに精励(せいれい)し、平和で調和のある世界の実現に向けて弛(たゆ)まぬ努力を続け、一人ひとりが即是道場の精神をもって、地道に前進してまいります。

しかし、世界に目を転ずれば、今この瞬間にも各地で紛争が起きており、絶えることのない暴力と怒りの連鎖が起きております。法句経に『まことに怨(うら)みは怨みによって報いれば、ついに止(や)むことはなく、ただ怨みを捨てるとき、それは止むのである』とあります。

また、開祖さまは国連初の軍縮特別総会で「危険をおかしてまで武装するよりも、むしろ平和のために危険をおかすべきである」と、時の為政者(いせいしゃ)に訴(うった)えかけました。

私たちは、この精神によって、怒りの連鎖を断ち、共に生きる世界を築く悲願の為に大乗菩薩道を歩み、その功徳を以(も)ってすべての戦争犠牲者の御霊に回向いたします。

 一心(いっしん)に仰ぎ見たてまつる久遠実成の御本尊
並びに十方世界に遍満(へんまん)する、
諸仏・諸菩薩・諸天善神
私たちを法華経にお導きくださいました、
開祖さま・脇祖さま何とぞ、私たちの菩薩行をご照覧(しょうらん)くださいますように、宇宙に存在する唯一(ただひと)つの母なる水の惑星・地球世界に平和が招来(しょうらい)されますように、すべての生きとし生けるものが平安でありますように、慈悲の御手(みて)を差し伸べ、ご守護くださいますようお願い申し上げます。
南無妙法蓮華経
令和二年八月十五日
立正佼成会
会長 庭野 日鑛
謹んで申し上げます