WCRP/RfP日本委 核軍縮を訴えPNND日本と共同提言文発表

開会のあいさつに立つPNND日本の近藤副会長(写真=WCRP/RfP日本委提供)

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会と核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)日本は4月27日、東京・千代田区の参議院議員会館で「核兵器廃絶に向けた会合」を開き、核兵器廃絶に向けた共同提言文をまとめた。

ニューヨークの国連本部では、5年ごとに核不拡散条約(NPT)の運用状況を締約国で検討する「NPT運用検討会議」が開かれる。今年はその年にあたり、共同提言文は、同検討会議に向けて、日本の国会議員と宗教者が合同で核廃絶を訴えるものだ。新型コロナウイルスの感染拡大により、この日から予定されていた同検討会議は延期となったが、日本政府をはじめとする締約国や国際社会に核廃絶の必要性を訴えるため、提言文を作成した。両団体は2015年と19年にも共同提言文を発表している。

当日は、PNND日本から衆議院議員を務める近藤昭一副会長、鈴木馨祐氏、山内康一氏、小倉將信氏、森山浩行氏、参議院議員の平木大作氏、白眞勲氏、井上哲士氏、藤末健三氏、平山佐知子氏が出席。WCRP/RfP日本委から核兵器禁止条約批准タスクフォースの神谷昌道アジア宗教者平和会議(ACRP)シニアアドバイザー、篠原祥哲事務局長、石川清哲師(本門法華宗)が参加した。衆議院議員の本多平直氏、同日本委の中村憲一郎同タスクフォース責任者(本会参務)、髙見三明評議員(カトリック長崎大司教区大司教)を含む7人がテレビ会議システムにより議論に加わった。

会合では冒頭、近藤氏と中村氏があいさつ。宗教者として中村氏は、NPT運用検討会議は延期されたが、核廃絶への取り組みは進めなければならないと語り、「共同提言文を発表することで核兵器廃絶への歩みを確かなものにしていきたい」と語った。

共同提言文では、75年前に広島、長崎両市に投下された原爆により数十万人が犠牲となり、今でも多くの被爆者が後遺症に苦しんでいるにもかかわらず、世界には1万3800発余りの核兵器が存在し、新たに開発を進める国がある状況に危惧を表明。さらに、米国とロシアで結ばれていた中距離核戦力(INF)全廃条約の失効や、2021年2月に有効期限を迎える新戦略兵器削減条約(新START)の延長の不透明性などを挙げて、核兵器による人類滅亡の危機が高まっていると指摘し、「多国間における核軍縮交渉の枠組みが行き詰まりの様相を呈している」事態に警鐘を鳴らしている。

一方、全てのいのちはつながっているがゆえに、人類の幸福は「本質的に共有されるもの」という、昨年8月にドイツ・リンダウで開催されたWCRP/RfPの第10回世界大会の「大会宣言文」にある示唆と、昨年11月に来日したローマ教皇フランシスコの核廃絶や軍縮に対する発言は、世界の為政者に「核兵器の存在が絶対悪であることを伝えるメッセージ」であると明示。国際司法裁判所(ICJ)は1996年に勧告的意見として、核兵器の違法性を示しており、「核兵器の廃絶に向けて、宗教者と政治家が大きな役割を果たしていかなければならない」と強調した。

その上で、日本政府に対し、「核抑止論の再検証」「核兵器禁止条約の支持」「北東アジア地域の非核兵器地帯構想の早期実現」、さらに、人工知能(AI)を利用したロボット兵器の開発や宇宙空間の軍事利用、新たなミサイルの開発を防ぐ取り組みを強く求めている。

共同提言文は今後、政策提言として日本政府に届けられる。核兵器廃絶への機運を高めていくため、同日本委と関わりのある団体にも配られる。

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