「ミャンマーの諸宗教者に選挙権を」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

ミャンマーの諸宗教者に選挙権を

ミャンマーのヤンゴン大司教であるチャールズ・ボー枢機卿(アジアのカトリック司教協議会連盟会長)はこのほど、諸宗教の指導者たちの選挙権を認めるよう訴えた公開書簡を政府に送付したと明かした。バチカンの公式ウェブサイト「バチカンニュース」が2月7日に報じた。

同国は2011年、軍政から民政への移管を果たしたが、憲法では仏教僧や尼僧、キリスト教の聖職者など宗教指導者の選挙権を認めていない。一方、国軍の指名する軍人が上院、下院ともに25%を占め、他の立候補者が残りの議席を争う選挙制度となっている。

今年11月の総選挙に向けてボー枢機卿は、「声明やスピーチを通して市民に投票を呼び掛けることはできる」が、自身を含む諸宗教者に選挙権を与えない憲法規定は「極限的な例外」であり、「このような例外を認める民主主義は他に存在しない」と訴えて改正を求めた。特定の政党や政治指導者を固定的に支持することは、宗教指導者の役割ではないとしながらも、自らの信じる価値観に基づいて投票し、それを市民にも訴えることは重要としている。

さらにボー枢機卿は、総選挙で誕生する新政府は、あらゆる人の権利の尊重、和平と調和の実現、差別の解消、発展、医療の充実といった、喫緊の諸問題に対処する必要があると強調。特定の政党や個人への投票ではなく、ミャンマーの平和と繁栄を願い、生命の尊重、教育の充実、信教の自由の保障、希少言語や土地所有権の保護などを基盤とする民主主義の推進のために投票するよう市民に訴えた。また、「総選挙が平和、尊重、自由、平等が守られた中で行われ、ミャンマーを平和に導き、さまざまな民族、宗教を持つ全ての市民の人権が尊重されるように」と願った。

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