大聖堂、全国各教会で「涅槃会」を厳修

大聖堂で行われた「涅槃会」。聖壇には、釈尊入滅の様子を描いた涅槃図が掲げられた

釈尊の生涯を振り返り、その入滅時に説かれた「自灯明・法灯明」の意義をかみしめて仏道精進を誓う「涅槃会(ねはんえ)」が2月15日、大聖堂(東京・杉並区)はじめ全国各教会で行われた。

大聖堂の式典には約3100人の会員が参集。聖壇には釈尊入滅の様子を描いた涅槃図が掲げられ、式典の冒頭には、その内容を表した映像作品が上映された。佼成合唱団のコーラスに合わせ、北関東支教区青年女子部員16人による奉献の儀が行われ、続く読経供養では導師を務めた庭野光祥次代会長が、庭野日鑛会長の啓白文を奏上した。

次に、会員を代表して笹原身知子・世田谷教会長が体験説法を行った。結婚後、体の不調を訴えて自宅に引きこもる夫に対し、責めてばかりいたが、救われを求めて教会に足を運び、信仰を深めた日々を披歴。サンガと触れ合う中で自らを内省し、苦は自己中心な自分を仏道に導くためのものであり、「仏の大きな慈悲」と気づいた体験を発表した。さらに、回復して以来、家族を支えてくれている夫に感謝の言葉を述べた。

また、5年前に教会長として着任した世田谷教会では、会員同士の触れ合いの場づくりを壮年部員が率先して取り組んでいることを紹介。青年部の仲間の輪が広がり、教えを学びたいという意欲の向上につながっていると報告し、さらなる布教伝道を誓願した。

この後、法話に立った庭野会長は、「時間」について触れ、過去や未来の時間は使うことができないが、「今」という時間だけが自由に使うことができると説明。「今日、ただ今といったその時間を大切に生きることが、人生を意義あるものにしていくことにつながる」と述べた。

その上で、「精進しようと決意したら、その時に始めないと何も始まりません。私たちが変わるとしたら『今なんだ』、決定(けつじょう)したら『今から始める』と。そうでないと私たちは一生精進できないことを教えて頂いています」と教示。変化にやまない諸行無常の真理を認識し、決定即実践の大切さを説いた。

涅槃会

釈尊が入滅したとされる2月15日に行われる法要。釈尊生誕を祝う「降誕会」、釈尊が悟りを開いた意義をかみしめる「成道会」と並ぶ仏教三大行事の一つである。約2500年前、釈尊は6年の修行の後に悟りを開き、人々を本当の幸せに導くため、以後生涯にわたり布教伝道に努めた。80歳で体調を崩した際、弟子の阿難に対し、自身と法を灯明とし、自身と法を依りどころにして生きなさいという「自灯明・法灯明」を説いた。その後、死期を悟った釈尊は、インド・クシナガラの沙羅双樹(さらそうじゅ)の下に横たわり、集まった弟子たちに「全ての現象は移りゆくものである。怠らず努めよ」との言葉を託し、涅槃に入った。