「開祖さま生誕会」 報恩感謝の心で菩薩行の実践誓う
立正佼成会を創立した庭野日敬開祖の生誕を祝うとともに、平和で調和のある世界の実現を目指し、さらなる精進を誓う「開祖さま生誕会」が11月15日、大聖堂(東京・杉並区)をはじめ、各教会で開催された。開祖生誕113年にあたる今年は、庭野日鑛会長が平成16年の第12回「御本尊勧請式」以来、15年ぶりに大聖堂で読経供養の導師をつとめた。大聖堂には、67教会から会員、教団退任役職者ら約3800人が参列。大聖堂での式典の模様は、インターネットを通じて国内外の各教会に配信された。
大聖堂には全国22教会から届けられた果物や米など、各地の特産品が奉納された。式典では、東京佼成ウインドオーケストラと佼成合唱団による「みこころに生きる」の調べに合わせ、全国の青年女子部員代表22人による奉献の儀が行われ、読経供養では庭野会長が「啓白文」を奏上した。
この中で、今年8月にドイツ・リンダウで開催された世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)の第10回世界大会に言及し、庭野開祖が世界の平和境建設のため踏み出した一歩が、多くの人々に引き継がれ、力強く歩みを進めていると明示。その上で、「『一乗』の世界を目指し、各自の心が平安であるよう精励し、平和で調和のある日本、世界の実現に向けて、大乗菩薩道を歩むことをお誓い申し上げ、開祖さまへのご恩に報いてまいります」と誓願した。
讃歎歌「誓いを胸に」の合唱の後、教団を代表して川端健之理事長があいさつに立った。この中で、カトリック・聖フランシスコ修道会のマキシミリアン・ミッチ神父が来賓として訪れた平成2年の「誕生会」(11月15、16の両日開催)の模様を映像で上映しながら、何事も「仏さまから頂戴(ちょうだい)したお役」と受けとめ、真心で臨んだ庭野開祖の心構えと姿勢を紹介。「開祖さまに一番喜んで頂けるご恩返しは、私たち一人ひとりが『法華経に示された人間の生き方』を心に刻み、本当の幸せを自分のものにさせて頂くこと」と語った。
この後、会員を代表して札幌北教会学生部長の女性(22)が体験説法を行った。女性は学生部活動での学びのほか、本会の平和活動の一環で海外を訪れた経験をきっかけに、今年、カンボジアにある教育支援を行うNGO団体でインターンシップに参加した体験を詳述。現地でスタッフとの関係に悩んだが、教えに照らして自らの心を見つめ直すと相手に対する見方が変わり、関係を改善できた様子を報告した。法華経は「世界中の人々を救うことができる教え」と語り、さらなる精進を誓った。
法話に立った庭野会長は、仏教的な考え方によると、人間として生まれることは祝うべき対象ではなく、迷いの世界に生まれてきたことにすぎなかったと説明。また、「仏教」という言葉には「仏のみ教え」「仏に成るみ教え」との二つの意味合いがあるとし、「迷いの世界に生まれた人間だけが、仏のみ教えを聞く耳を与えられ、迷いを離れて仏に成る道を歩む灯(ともしび)を与えられている」と説いた。
さらに、経典読誦(どくじゅ)の際に読み上げる「普回向」について触れ、全ての衆生と共に成仏したいという願いは、法華経の精神を最も簡明に表していると解説。これは、「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という宮沢賢治の言葉に通じるとしながら、普回向に示された願いを果たしていくことが大事と述べた。