広島教会 被爆地に生きる意味かみしめ 支部ごとに平和学習を実施

参加者は、原爆投下時の被害状況や、被爆体験に耳を傾け、改めて原爆の恐ろしさを知った

「これからも戦争のない平和な世界を守り、次の世代につなげる」ため、立正佼成会広島教会では、今年6月から支部ごとで原爆について詳しく知る平和学習を実施している。核兵器の恐ろしさを再認識するとともに、被爆者や被爆二世、三世の“痛み”を知り、自らが被爆地に生を享(う)けた意味合いをかみしめる機会となっている。

学習会は、広島県下5教会の会員有志でつくるNPO法人「ヒロシマ宗教協力平和センター」(HRCP)が県内の教会に平和学習を呼び掛けたことを受けたものだ。HRCPは他県から訪れる市民や会員の平和学習に協力してきたが、今年、設立20年を迎え、地元のより多くの人々に核兵器の脅威や被爆者の痛みを知ってもらいたいと願って、働き掛けたのだった。これに応じて、広島教会では、HRCPの協力を得ながら、会員が参加しやすく、数十人単位できめ細かく学べるようにと、支部ごとに学習会を実施した。

各支部では、広島平和記念資料館や国立広島原爆死没者追悼平和祈念館の見学、被爆者による講演、原爆に関する詩の朗読会などが行われ、計214人が参加した(10月21日現在)。

城北支部は10月2日、教会研修室で、被爆体験伝承者の土橋道子HRCP理事を講師に招いて学習会を実施。会員22人が原爆投下時の被害状況や被爆体験に耳を傾けた。「分かち合い」の時間では、参加者が当時の惨状に思いを馳(は)せ、今も残る原爆の影響について話し合った。

教会の中には自身や家族が原爆を体験し、そのことをなかなか話せずにきた人もいる。同支部の女性(75)もその一人で、結婚2年目の23歳の時、急性白血病で元夫を亡くした。「夫は、5歳の時に被爆していました。私自身は被爆者ではありませんが、子供が被爆二世のため、差別を受けるのではないかと不安で、死因を何十年も話せずにいました。今日、皆さんと一緒に勉強させて頂いて、サンガ(教えの仲間)の皆さんは受けとめてくださると思い、話すことができました。ようやく、胸のつかえが取れました」と語った。

この後、参加者は爆心地に向かい、原爆供養塔で慰霊の誠を捧げた後、HRCPのメンバーの案内で、広島平和記念資料館を見学した。

同支部長(45)は、「広島では自分が被爆者であったり、被爆二世、三世であることをあまり語りたがらないため、身近にそうした人がいることを意外と知らないことも多いのです。地元で平和学習をすることは、そうした方々の痛みを知り、寄り添えるきっかけになります。また、支部で実施すると気心の知れたサンガがいますから、痛みを抱えている方も参加できるようです。私自身、今回の学び、感じたことを若い世代の人たちに伝えていきたいと思います」と話した。