東京東支教区が「仏教経営者塾」 企業の課題解決を仏教から学ぶ

立正佼成会の東京東支教区「六花(りっか)の会」主催による「仏教経営者塾」が8月18日、台東教会で開催され、東京教区の経営者や個人事業主の会員ら70人が参加した。同塾は昨年12月、教団創立八十周年記念事業として大聖堂で行われた「仏教精神に学ぶ経営者の集い」を機に発足した「六花の会」の取り組みの一つ。仏教精神に基づく経営を学ぶとともに、経営者同士が交流を図ることを目的としている。

冒頭、庭野日敬開祖と京セラの稲盛和夫名誉会長から薫陶を受け、企業再建に携わってきた滋賀教会会員の福永正三氏(昨年11月逝去)の講演をまとめた映像が上映された。次いで、福永氏から経営のアドバイスを受けた会員3人がそれぞれの体験を発表した。

この中で、家電の卸売業を営み、赤字経営に苦しんでいた台東教会の男性会員(56)は2年前、横浜教会での「仏教経営者塾」に参加し、講師を務める福永氏から、「結果の出ない努力は、努力ではない」との厳しい言葉を受けて、自身の仕事観、経営者としての姿勢を見つめ直したと詳述。この言葉を宝とし、毎日、一つ一つの仕事に「ど真剣で取り組んでいるか」と自らに問いながら仕事にあたっていると語った。

続いて、製造業を営む二つの会社で会長を務める松戸教会会員(77)が、『経営者の心得』と題して講演した。本部職員だった会員は、会社を創業した父が労使問題で経営を悪化させたことを機に、父の会社に入社。労使間のパイプ役として、現場の社員の声に耳を傾け、労働環境や待遇の改善に力を注いだ結果、売り上げが伸び、会社の規模も拡大したと話した。その上で、「壮大な夢を抱くことは経営者として大切なこと。しかし、それ以上に求められるのは、社員が『ジャンプすれば手が届く』と思える範囲内で目標を示すこと」と強調。ジャンプとは、「創意工夫」を意味するとし、現場の実情に合わせて、「これならできる」と感じられるような短期目標を示して社員のモチベーションを高めることで社員各人の能力が育まれ、会社の成長につながると語った。

班別のグループディスカッションに続き、平井孝昌台東教会長が進行役を務め、松戸教会会員、千葉和男東京東支教区長(江戸川教会長)、「六花の会」推進副責任者の國富敬二杉並教会長らによる総合討議が行われた。人材確保、取引先との関係、職場での社員との触れ合い方など、経営者が直面する課題について、縁起観などを踏まえて意見が交わされた。