難民支援協会などによるトークショー 『私たちは私たちの(無)関心とどう付き合うか』

豊富な鉱物資源をめぐり紛争が長期化するコンゴ民主共和国では、目を覆いたくなるほど残虐な性暴力が横行している。被害女性の年齢は、0歳から80代に及ぶ。彼女らに寄り添い、献身的に心身の治療を続ける医師、デニ・ムクウェゲ氏を追ったドキュメンタリー映画『女を修理する男』の上映会が2月2日、東京・渋谷区で開催された。上映後には、『私たちは私たちの(無)関心とどう付き合うか』をテーマにトークショーが行われ、ムクウェゲ医師の生き方に学ぶことや、世界の諸問題にどう関心を持ち続けていくかなどが語られた。

このイベントは、認定NPO法人「難民支援協会」(JAR)と、難民と市民をつなぐ学生団体「WELgee(ウェルジー)」の共催。市民60人が参加した。トークショーで登壇したのは、JARの野津美由紀さん、WELgeeの渡部清花さん、スマートニュース株式会社の望月優大さん。それぞれ難民問題やNPO支援に取り組む。

この中で、野津さんは、日本に逃れてきた難民を支援するJARの事務所には、60を超える国から年間約700人が相談に訪れ、中でもコンゴ民主共和国は昨年の大統領選挙の影響で相談者が増えている国の一つと説明した。また、同国で採掘される鉱物・コルタンは、スマートフォンやパソコンの製造に欠かせない素材であり、製品を使用する消費者は現地の紛争問題と無関係ではなく、間接的に紛争に加担しているとも言えると指摘した。

「日本は難民を受け入れるべきか」という会場からの問いに対しては、「情報や人の移動がこれほど活発になっている中で、途上国への資金援助にとどまるという姿勢は今後さらに減っていくと思います」と回答。すでに日本で年間7000人以上が難民申請を行うが、結果が出るまでに平均3年を要する上、認定者数が極めて少ないといった問題点を挙げ、「受け入れるかどうかという議論よりも、日本でどう共生していくかという方向に早く議論の舵(かじ)を切っていくべき」と述べた。

一方、渡部さんは、支援活動に携わる中で、ある男性から、「自分たちを『難民』と呼ばないで。僕はエンジニアだ」と言われたエピソードを紹介。「難民は属性ではないと思う。ただ難民というバックグラウンドを持っているだけ」と述べ、“難民”とひとくくりにして接するのではなく、一人ひとりが培ってきた人間性やアイデンティティーを尊重して一人の人間として接することが、相互理解につながると訴えた。

参加者の女性(26)は、「物事を知り、関心を抱く姿勢を持つこと、常にアンテナを張っていくことが、どんな問題に対しても大切だと思いました。今回の映画を観たことで、例えば今後、この国の名前を聞いたときに、ムクウェゲ医師の顔が頭に浮かぶはずです。具体的な人の顔が浮かぶことで関心が広がり、これまで知らなかった問題に対して自分がどう向き合っていけばよいのか、考え始めるきっかけになりました」と話した。