逃亡犯条例改正案をめぐる問題 対話による解決を呼び掛ける香港の諸宗教者(海外通信・バチカン支局)

刑事事件の容疑者の身柄を中国本土に引き渡すことを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対し、6月に入ってから若者や学生たちによる大規模な集会が続く香港。対立の激化を憂慮する香港カトリック教会の湯漢枢機卿がこのほど、見解を表明した。

見解は、バチカンの公式ウェブサイト「バチカンニュース」に掲載された。

湯枢機卿はバチカン諸宗教対話評議会で開催されていた、「香港6宗教指導者との対話会議」の40周年を祝う行事に参加していたが、プロテスタント、仏教、イスラーム、道教、儒教の指導者30人の考えを代弁しながら、政府側と抗議デモの代表者が「一つのテーブルに着いて対話し、反対派は見解を表明すると同時に、政府にも改正の理由を説明する機会を与えるように」と訴えている。

また、カトリック使節団の責任者であるチョイ神父は、「諸宗教指導者の全員が、香港での現状について発言した」と明かした。その上で、全員が「私たちは平和の道具でありたいと願い、若者たちと政府との間の対話を支援する努力を惜しまない。問題解決へ向け、双方に交流のチャンネルを開いていきたい」との希望を持っていると述べた。

香港6宗教指導者会議は、「多様性を尊重しながら、愛、平和、正義、赦(ゆる)しと、より弱く、より貧しい人々への配慮を通して、調和ある社会に向けたビジョンのうちに平和共存と相互扶助、そして共通善の促進を目的とする」(チョイ神父)。

香港立法会(議会)は15日、逃亡犯条例改正案の審議延期を公表した。しかし、16日にもデモは実施され、主催者によると参加人数は200万人を超えたとされる。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)