第36回庭野平和賞贈呈式 庭野日鑛名誉会長挨拶

5月8日に国際文化会館(東京・港区)で行われた「第36回庭野平和賞」贈呈式の席上、庭野平和財団を代表して庭野日鑛名誉会長が挨拶に立った。全文を紹介する。(文責在編集部)

庭野名誉会長挨拶

本日は、「第三十六回庭野平和賞」の贈呈式に際し、文部科学事務次官・藤原誠様、日本宗教連盟理事・岡田光央様、駐日ローマ教皇庁大使館・臨時代理大使・ヴェチェスラヴ・トゥミル様をはじめ、多くのご来賓のご臨席を賜り、誠にありがとうございます。あつく御礼申し上げます。

今年度の庭野平和賞を、米国・ノートルダム大学名誉教授のジョン・ポール・レデラック博士にお贈りできますことは、大変光栄なことでございます。選考にあたられたアン・ジェウン委員長様はじめ、庭野平和賞委員会の皆様に深く敬意を表する次第であります。

只今、アン委員長さまから贈呈理由の説明がありましたように、博士は、非暴力・平和主義を特長とするメノナイトの信仰をもとに、「紛争変革」という独自の理論を提唱され、実際に世界各地で調停・和解活動に取り組んでこられました。

この「紛争変革」という考え方を学ぶため、私は、日本語に翻訳された博士のご著書・『敵対から共生へ――平和づくりの実践ガイド』を読ませて頂きました。

博士の提唱する「紛争変革」という理念は、暴力を伴う地域紛争において有効であるだけでなく、私たち個々人の間で見られる対立や確執に対しても、的確な示唆を与えてくれます。今日、この会場にお出でのお一人お一人が、深く心に刻むべき重要なメッセージであると思います。

一般的に私たちは、「紛争の解決」という言葉を使います。一方、博士は「紛争の変革」を提唱されています。この「解決」と「変革」にはどのような違いがあるのでしょうか。