イスラームのラマダン、仏教のベサク祭に向けて バチカンがメッセージ(海外通信・バチカン支局)
バチカン諸宗教対話評議会は5月11日、世界の仏教徒が満月の夜に釈尊の降誕を祝うベサク祭(同19日)を前に、仏教徒に向けて『仏教徒とキリスト教徒 女性と少女の尊厳性 同等の権利を促進』と題するメッセージを発表した。
ローマ教皇フランシスコとイスラーム・スンニ派最高権威機関「アズハル」(エジプト・カイロ)のアハメド・タイエブ総長が今年2月に、UAE・アブダビで共に署名した「人類の友愛に関する文書」では、「女性と子供たちの尊厳」がより大事にされるよう訴えている。この文書を踏まえ、同評議会から発表された今回のメッセージでは、「世界の女性の総人口のうち、3分の1にあたる女性や少女が暴力を受けており、世界的な問題になっている」と指摘。その例として、紛争下での暴力、また紛争後の強制移住、さらに人身取引の被害や性的搾取を挙げている。
こうした問題を解決していくには、若い女性や少女たちの教育を受ける権利を守るためにも制度として確立し、男性と平等な雇用と賃金、財産の所有、遺産相続を保障することが必要と強調。さらに、「政治や市民活動に参画する権利を過小評価している状況を克服していかなければならない」としている。
加えて、メッセージでは、諸宗教間対話の場でも、「対話のテーブルに座る女性宗教指導者の数を増やしていくように」と求め、女性たちの基本的な権利と自由を本来のあるべき形に回復していくことが「緊急課題」と伝えている。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)