RSE「環境問題勉強会」 海洋プラスチック汚染の影響を学ぶ

宗教・研究者エコイニシアティブ(RSE)による今年度の「環境問題勉強会」が3月28日、東京・文京区の東洋大学で行われた。宗教者や研究者ら38人が参加。立正佼成会から深田伊佐夫習学部主幹、北村泰章中央学術研究所学術研究室主幹が出席した。

今回は、海洋プラスチックごみの問題が取り上げられた。現在、年間約800万トンものプラスチックごみが海に流入し、環境汚染や海の生物に甚大な被害を及ぼしている。当日は、『海洋プラスチック汚染と生態系影響』をテーマに、東洋大学生命科学部の柏田祥策教授が講義を行った。

東洋大学生命科学部教授柏田祥策氏

柏田氏は、プラスチックごみが海に流入する原因の一つとして、廃棄物の不適切な管理を挙げた。特にアジアでは、ごみ処理場が整備されていない国や、「ごみはごみ箱に捨てる」という習慣がない国があり、ごみが道端に捨てられ、風や雨によって河川から海へと流入していると説明した。

改善策として、国の環境政策や環境教育、ごみ処理のインフラ整備、モラルの向上が必要と強調。同時に、経済成長のための政策に比べて、ごみ処理などの環境を整えていく政策は二の次になる傾向があり、こうした風潮を国際社会が協力して変えていくことも大事と訴えた。

また、講義ではプラスチックごみの海への流入による危険性を解説。海洋生物だけでなく、時には人間にも害を及ぼす病原性微生物がプラスチックにすみ着くことが研究によって確認されており、潮流に乗ってプラスチックごみが長距離を移動し、病原性微生物の被害が拡大する恐れがあると指摘した。