岩田日見師(日蓮宗波木井山円実寺住職)の本葬儀 庭野会長が出席
日蓮宗の波木井山円実寺(山梨・身延町)の第三十五世住職を務め、昨年11月30日に世寿84歳で遷化した岩田日見師の本葬儀が3月8日、同寺本堂で行われた。立正佼成会から庭野日鑛会長が出席。元理事長や教団役職者、教会長、会員約200人が参列した。また、本葬儀後に同町内のホテルで営まれた「岩田日見上人を偲(しの)ぶ会」では、庭野会長があいさつに立った。
岩田師は昭和10年、愛媛・松山市生まれ。11歳の時、岩田日成上人のもとへ弟子入りし、21年に得度した。立正大学仏教学部宗学科卒業後、身延山信行道場の修行を経て日蓮宗僧侶の資格を取得。日蓮宗大荒行堂で寒百日間の初行を成満して日蓮宗修法師となった。平成4年、三十五世鏡行院日見上人として波木井山円実寺の住職に就任した。
円実寺は、鎌倉時代に波木井城の城主・波木井公(南部六郎実長公)が日蓮聖人に寄進した寺として知られる。本会との交流は、昭和21年に庭野日敬開祖と長沼妙佼脇祖が同寺の再興を申し出たことに始まる。同寺は明治時代に二度の火災に遭い、21年当時の本堂は古く傷んでいたためだ。以来、親交を深め、毎年8月に行われる「波木井山川施餓鬼法要」には甲信支教区をはじめ周辺地域の教会の会員が参加。庭野開祖や庭野会長が法話を述べてきた。一方、岩田師は、平成15年に佼成出版社から発刊された『庭野日敬追悼集二「把手共行」』に寄稿している。
8日の本葬儀では、読経の後、大導師をつとめた日蓮宗総本山身延山久遠寺の内野日総法主が歎徳文を読み上げた。この中で、岩田師が円実寺住職として本堂の屋根の修復、山門や日蓮聖人像、鐘楼堂の建立などを成し、同寺の再興に尽くした功績をたたえた。
午後の「偲ぶ会」では、内野法主に続いて庭野会長があいさつに立った。庭野会長は、岩田師が師父の「波木井公の心を未来に継承し、正法による真の幸せを檀家信徒に得てもらいたい」という願いを受け継ぎ、尽力したことに言及。平成14年の鐘楼堂落慶式に参列した当時を振り返りながら、「朝な夕なに鐘が鳴るというのは、仏教ではとても大事なことで、鐘の音が諸行無常、諸法無我を伝えます。波木井山からの梵鐘(ぼんしょう)の音が身延の町に聞こえていく――理想の世界がそこにつくられたように感じて、いつも鐘の音を聞かせて頂いてきました」と述べ、優しく誠実な岩田師の人柄を偲んだ。