庭野平和財団による助成で ソーシャル・ジャスティス基金がフォーラム開催
崔氏は、今年4月に特定技能を有する新たな外国人労働者の受け入れが始まることで注目が集まっているが、雇用や国際結婚によって日本に暮らしている外国人はすでに1980年代から増え続け、264万人に達すると説明。昨年から、「ここにいる」キャンペーンを実施して在留外国人の人権を訴える活動に取り組んできたことを踏まえ、助成金を基に政策提言を冊子にまとめ、全国フォーラムや勉強会を開催するとの計画を発表した。
会場の参加者から、「どのような政策を提言するのか」と質問を受けた山岸氏は、在留外国人の子供への教育が十分に保障されていない点、受け入れが始まる特定技能1号の在留資格には家族の滞在が認められておらず、労働者の人権侵害に当たる点を挙げ、改善を求めていると説明した。
一方、甲斐田氏は、「子どもの権利条約」が国連で採択されて30年になる今年、シーライツでは、子供が自分の権利を守る方法をまとめた書籍の発刊を目指していると説明。「子供自身が“自分にはこういう権利があるからこう要求していこう”と思ったり、“他の子供が権利を奪われていることについて、何かできることはないか”と考えたりできるような、アクションを促す本にしたい」と語った。特に、LGBT(性的少数者)や不登校、外国にルーツを持つ子供の主張や意見を集約して学校や行政機関に働き掛けていくため、マイノリティーの子供たちの自助グループと連携し、書籍を活用したワークショップを開催するとの構想を語った。
SJF審査委員長を務める上村英明氏(恵泉女学園大学教授)は、「多様な価値観が共存する社会を実現するための試みを資金面でフォローアップしていくことが私たちの役割です。さらにこのフォーラムを機に、基金に集まってくださった方々の交流によって、より大きな協力関係が生まれれば大変うれしい」と期待を寄せた。