『宗教と環境に配慮した文明の構築』テーマに ACRP開発環境委員会が北京でセミナー

アジア宗教者平和会議(ACRP)開発環境委員会主催の地球環境に関するセミナーが9月11日、北京市内のホテルで行われた。テーマは『宗教と環境に配慮した文明の構築』。アジア6カ国(中国、日本、オーストラリア、マレーシア、フィリピン、タイ)のACRP開発環境委メンバー約30人が参加した。日本の正式代表として、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会の川端健之理事(立正佼成会理事長)が出席した。

このセミナーはアジア一帯の環境問題に対し、各国の宗教者が具体的な取り組みを話し合うことが目的。ACRP開発環境委の委員長国で、WCRP/RfPの中国委員会である中国宗教者和平委員会(CCRP)の受け入れにより初めて開催された。

セミナーでは冒頭、CCRPの高叶副会長、ACRPのデスモンド・カーヒル副実務議長があいさつ。続いて、CCRPをはじめ、マレーシア、フィリピン、タイ、日本5カ国の国内委員会の代表者が環境問題に対する、それぞれの活動について報告した。

この中で、同日本委の川端理事は、「草木国土悉皆成仏(そうもくこくどしっかいじょうぶつ)」という仏語を引用し、動植物や人間に加え、鉱物、エネルギーなど宇宙に存在する一切のものは一つのいのちであり、等しく仏性を具(そな)えているという仏教観を紹介。一つのいのちである地球を大切にするため、便利さや物質的豊かさのみを追求して自然環境の汚染や破壊をもたらす生活をやめ、自らの欲望を抑制して心の平安を得る「少欲知足」に基づいた生き方に転換していくことが重要と語った。

発題を行うWCRP/RfP日本委の川端理事(右から2人目)

その上で、WCRP/RfP日本委が昨年から取り組む「いのちの森プロジェクト」を報告し、緑化を通した地球温暖化防止を提案。エネルギーの供給については、原発のような「集中型」から地域に根差した「自立・分散型」、再生エネルギーを活用した「多元化」の社会を構築し、アジアの宗教者同士の信頼関係を高めて協働するといった、具体的な取り組みを提言した。
(写真提供・WCRP/RfP日本委員会)