中央学術研究所の山崎顧問が『古代インド沙門の研究』発刊
立正佼成会の付置研究所である中央学術研究所の山崎守一顧問(元こども教育宝仙大学学長、文学博士)が、このほど大蔵出版から『古代インド沙門の研究 最古層韻文文献の読解』を公刊した。
本書は、山崎氏が平成元年に東北大学に提出した学位論文を、研究者だけでなく初期仏教に関心のある一般読者にも理解できるよう、4年の歳月をかけて加筆・修正し、大幅に編集し直したもの。
山崎氏は初期の仏典の中に、サンスクリット語、パーリ語だけでは理解のできない「語」が数多く存在し、それらが仏教と同時期に興起したジャイナ教の聖典との比較を通じて解決できることに着目した。
そのような問題意識を持って、本会の教育機関である学林本科に在林中、英ケンブリッジ大学に留学。K・R・ノーマン教授のもとで2年間、中期インド・アリアン語を学んで帰国した。その後も研究を重ね、サンスクリット語、パーリ語、難解とされるアルダ・マガダ語など言語学の知識を駆使して仏教、ジャイナ教の最古層の聖典を読み解いた。
今回の出版は、中央学術研究所の助成により実現した。本文をはじめ詳細に記した章末の註と引用索引は、将来にわたり、有益な参考資料として活用されることが期待され、公刊の意義は大きい。
本書は、山崎氏が半世紀にわたり心血を注いだ研究の集大成である。
『古代インド沙門の研究 最古層韻文文献の読解』(大蔵出版、本体1万8000円+税)