比叡山宗教サミット31周年記念「世界平和祈りの集い」 諸宗教者が一層の努力を誓う

諸宗教の代表11人が登壇し、「平和の鐘」の音に合わせて祈りを捧げた

比叡山宗教サミット31周年記念「世界平和祈りの集い」が8月4日午後、滋賀・大津市の天台宗総本山・比叡山延暦寺一隅を照らす会館前「祈りの広場」で開催された。集いは、天台宗国際平和宗教協力協会、同延暦寺によるもので、国内外の諸宗教者や市民ら約900人が参集。立正佼成会から庭野日鑛会長が出席した。

1986年、ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世の呼び掛けで世界の宗教者がイタリア・アッシジに集い、「アッシジ平和祈願の日」が開催された。この精神を引き継ぎ、翌年、山田惠諦第二百五十三世天台座主の提唱で、第1回の「比叡山宗教サミット」が行われた。以来、毎年、比叡山で国内外の諸宗教者による「世界平和祈りの集い」が催されてきた。

集いでは冒頭、青少年280人が世界平和への願いを込めた折り鶴を、地球に見立てたステージ上の「球体」に奉納。「開経偈」「般若心経」「回向文」の読誦(どくじゅ)に次いで、森川宏映第二百五十七世天台座主が平和祈願文を奏上した。

森川座主

森川座主は、多様性を認めず、弱者を切り捨て、経済的な豊かさを追求する価値観が広がる現代社会への憂慮を示し、「私どもが取り戻すべきは、伝教大師がお示しになられた『己(おのれ)を忘れて他を利するは慈悲の極みなり』『一隅を照らす』との精神である」と強調。その上で、「恒久平和実現のために祈りを捧げ、一層努力することを謹んで誓います」と述べた。

この後、森川座主はじめ仏教、キリスト教、イスラーム、神道、教派神道、新宗教などの代表11人が登壇。庭野会長は新日本宗教団体連合会(新宗連)を代表してステージに上がり、「平和の鐘」の音に合わせて祈りを捧げた。

続いて、バチカン諸宗教対話評議会議長の故ジャン・ルイ・トーラン枢機卿、世界仏教徒連盟(WFB)のパン・ワナメティー会長による「平和メッセージ」が代読され、2人の青少年代表が『平和への思い』と題して作文を朗読した。

青少年代表が『平和への思い』を発表

そのうちの一人、本会京都教会の女子高校生(17)は、月に数回食事を抜き、その食費分を献金して開発途上国への支援などに充てる本会の「一食(いちじき)を捧げる運動」の取り組みを発表。過酷な状況で暮らす人々に早く平和が訪れることを願うとともに、自身の環境に感謝していく大切さに気づいたと語り、「与えてもらった優しさを、また誰かに発揮できるような人間になりたい」と誓願した。最後に、「比叡山メッセージ」が読み上げられ、参集者全員で「平和の合い言葉」を唱和した。