西日本豪雨 宇和島での支援活動 炎天下、力合わせ復旧へ
西日本を襲った集中豪雨では、犠牲者216人、家屋被害は3万4000棟を超えた(総務省消防庁発表=7月18日現在)。立正佼成会本部は同9日、庭野日鑛会長が『被災地の皆さまへ』と題したメッセージを発表。被害の甚大な地域に職員を派遣し、各教会などと連携して被害の情報収集に取り組むとともに支援体制を整え、救援物資の供給を行っている。広範囲で土砂崩れや浸水被害の起こった地域を包括する宇和島教会(愛媛)は、発災直後から教会役員を中心に被害情報の把握に努めてきた。豪雨被害から1週間が過ぎ、安否確認や支援にあたる会員の姿を紹介する。
「これほどの大水害は初めて」 会員の安否確認や状況把握に奔走
「野村で何が起こっとるのか、そっちで分かる?」――7月7日正午過ぎ、会議のため宇和島教会に宿泊していた宇和島教会壮年部長(62)に、自宅にいる妻から電話が入った。テレビをつけると、西予(せいよ)市野村町のシンボル、乙亥(おとい)会館が、緑色の屋根の一部を残して水没している様子が映し出された。壮年部長の自宅がある野村町では、すでに電気や水道などライフラインが断たれ、テレビのニュースも見ることができなかったのだ。
「住居は無事でしたが、親類や壮年部の仲間、友人には家や仕事場に被害が出ました。これほどの大水害は生まれて初めて」と壮年部長は話す。電話の後、松山に出張していた西松宏予宇和島教会長と急いで連絡を取り、対応を協議。総務部長、教務部長、支部長といった教会役員が中心となって会員の安否確認に全力を注ぐことを決めた。
記録的な大雨の影響で一級河川の肱川(ひじかわ)水系が氾濫。流域の住宅地や商業地が広範囲にわたって冠水被害を受けた。西予市野村地域の浄水場が浸水し、市内は大規模な断水に見舞われた。大洲(おおず)市でも水源地のポンプが浸水で故障して約1万戸が断水した。さらに西予市内では、中心部の宇和と野村を結ぶ県道が土砂崩れや冠水によって不通となった。
宇和島教会では、西予市野村地域と大洲市、宇和島市吉田町など愛媛県内で甚大な被害を受けた地域を、宇和、八幡浜(やわたはま)、吉田の3支部で包括する。水が引いた8日以降、支部長と主任らが安否確認に歩き、避難した会員や被災状況の全容把握に努めている。
吉田町に住む女性会員(72)は、母屋が床上1メートルの浸水被害を受けた。JR伊予吉田駅の付近に家屋があり、宇和道場から届く物資の配布拠点になっている。女性会員は8日から連日、軽トラックの荷台に飲料水やタオル、紙おむつなどの支援物資を載せ、被災地の会員や住民に配布して回った。「この辺りは独り暮らしの高齢者が多いので、罹災(りさい)証明の書き方や買い物など自分にできることをさせて頂きたい」と語り、自宅の母屋の復旧作業は後回しという。
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