早大大学院の長谷部教授を講師に人権学習会

『憲法改正と基本的人権』をテーマに、立正佼成会の教会長対象の「人権学習会」が3月19日、法輪閣大ホール(東京・杉並区)で行われた。早稲田大学大学院法務研究科の長谷部恭男教授が講演した。

現在、衆参両院では、「憲法改正」の発議に必要な3分の2以上の議席を改憲勢力が占めている。昨年12月、自民党憲法改正推進本部は「憲法改正に関する論点取りまとめ」を発表し、「9条への自衛隊明記」「緊急事態条項の新設」「参議院の合区解消」「教育の充実強化」を改正の方向として示した。当日、講演に立った長谷部氏は、この4項目に触れ、それぞれの内容や改定された場合の影響について詳述した。

早稲田大学大学院の長谷部教授

9条への自衛隊の明記について長谷部氏は、専守防衛に徹する自衛隊は現在、「違憲ではない」とされていることを説明。その上で、自衛隊の定義が憲法に明文化されていないからこそ、政府が国民に対して、事あるごとに活動内容や行動範囲を説明する必要があるとし、現憲法の合理性を示した。また、憲法で自衛隊の役割が明文化されれば、政府が説明を放棄するための理由として用いられかねず、同時に、時の政府の拡大解釈によって活動範囲が広がりかねないと指摘。一方、自衛隊の役割を明文化した改憲案が国民投票で反対された場合、自衛隊の存在自体を否定することにもつながり、昨今の国際情勢の下では、国民の間に大きな混乱が生じると述べた。

【次ページ:緊急事態条項の問題点】