創立80周年記念式典祝辞 カトリック長崎大司教・髙見三明師

もう半世紀前のこと、カトリックの聖職者を目指して福岡の大神学校に在学中、諸宗教について学んだのがきっかけで、東京に来た折、こちらの大聖堂を訪れたことがございます。仏教なのにお寺の様式ではなく、ヨーロッパのお城か、オペラ座のような建造物に興味をひかれました。実際、ご本尊と共にパイプオルガンが設置してあるのに大変驚きました。

また、33年ほど前のことです。ローマ留学から帰国する機内で、カトリックの運動の一つ、フォコラーレの創始に携わったナターリアさん(ナタリア・ダラピッコラ師)と相席でしたが、成田空港に着くと、立正佼成会青年部の方がお迎えに来ておられました。私はその初対面の方々に東京駅まで送って頂いたのです。その方たちが大変紳士的で親切だったことが、強く印象に残っております。

その後も長崎でのフォコラーレの集いのマリアポリで何度も立正佼成会の方々の姿に接する機会がございました。また、長崎県宗教者懇話会におきましては大変お世話になっております。立正佼成会の皆さまは、まさに諸宗教対話を実践する方たちであるとの認識を深めている次第でございます。

さて、庭野日敬開祖さまは、80年前の昭和13年3月5日、世界中の人間を一人残らず救い、世を立て直すために「大日本立正交成會」を創立されました。生来の平和志向の精神とお父上の訓育を身につけられた上に、法華経の教えに深く根差したお考えをお持ちで、早くから宗教者として平和のために何をどうすればよいかを常に求め、これと思うことを実行に移してこられたとお見受けいたします。

開祖さまは、「真の平和は宗教心の涵養(かんよう)による以外にない」との信念に基づいて、「国民皆信仰」、「明るい社会づくり運動」を提唱する一方、宗教者同士の協力によって世界平和の建設を目指されました。昭和38年には、「核兵器禁止宗教者平和使節団」副団長として欧米各国を歴訪され、3回の国連軍縮特別総会では、為政者に対して平和への努力と軍縮の必要性を訴えられました。

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