「仏教徒・キリスト教徒会議」台湾で 光祥次代会長が出席

バチカン諸宗教対話評議会主催、中国地域司教協議会、霊鷲山僧院(台湾)共催による「第6回仏教徒・キリスト教徒会議」が、11月13日から16日まで、台湾の霊鷲山無生道場を会場に開かれた。バチカンなどヨーロッパ諸国、台湾、香港、韓国、日本などから、カトリックと仏教の指導者ら90人が参加。立正佼成会から庭野光祥次代会長が出席し、基調発題を行った。

同会議は、キリスト教と仏教の対話・理解を促進し、世界の諸問題に対する解決の道を探ることを目的に1995年から開催されているもので、今回は『仏教徒とキリスト教徒が共に歩む非暴力への道』を総合テーマに行われた。

13日、キリスト教、仏教それぞれの祈りが捧げられた後、シン・タオ僧正(霊鷲山僧院)による歓迎のあいさつで開幕。スラダン・コスィック司教(在台湾バチカン大使)、ジョン・フン台北大司教、ペニエル・ルフス・ラジクマール博士(世界教会協議会)からのメッセージに続き、バチカン諸宗教対話評議会次官のミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット司教が基調講演を行った。

この後、『なぜこれほどまでに世界で暴力が起こるのか』を主題に開かれたセッションでは、「社会学的視点」「経済学的視点」「生態学的視点」「家庭的視点」の四つの視点からそれぞれスピーチが行われた。この中で光祥次代会長は、仮説として提示された『家庭での暴力が社会の暴力を生み出す』のテーマについて、家庭的視点から発表に立った。

光祥次代会長は、全てが相互に関係し合って存在するという仏教の「諸法無我」に触れ、「家庭内の暴力が家庭外での暴力の発生につながっていることと同様に、家庭の中が平和であれば世界の平和に影響を及ぼすことができる」と説いた。その上で、75年に設立された「家庭教育研究所」が、仏教精神に基づく家庭教育の普及活動を、日本国内だけでなく南アジアの国々でも行っていることを紹介。バングラデシュにおける一つの事例を挙げ、幼い頃に暴力を受け、自分もわが子に暴力を振るってしまうことで悩んでいた母親が、家庭教育を学んだことで、自分自身の存在価値を認められるようになり家庭が大きく変化したことを詳述した。

また、「他者のことを考え、他者のために生きる人間、すなわち菩薩を育成するには、自分が大切にされている感覚を味わい、美しいものを見て美しいと思い、傷ついたものを見て心を痛め、人の笑顔を見て喜びを覚えるような感性を育てることが大切」と強調。そのためにも、まず親自身が菩薩としての生き方を心がけることが重要と述べた。

さらに、「社会にいる私たち一人ひとりが、子育てをしている両親に温かいまなざしを向け、勇気づけ、親であるあなた自身が唯一無二の素晴らしい存在なんだと励ましていくことが、遠回りではあっても最も必要とされているのだと信じています」とスピーチを結んだ。