「核兵器禁止条約」署名式に出席して WCRP/RfP日本委の篠原部長に聞く

©UN Photo/Kim Haughton

全ての核兵器の使用、開発、実験、製造、取得、保有、貯蔵、移転などを禁じる「核兵器禁止条約」の署名式が9月20日、ニューヨークの国連本部で行われた。田上富久長崎市長や日本原水爆被害者団体協議会の田中熙巳事務局長らと共に、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会の篠原祥哲平和推進部長がオブザーバーとして出席した。篠原部長に、式典の状況や核兵器禁止条約発効への思いを聞いた。

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WCRP/RfP日本委員会は国連経済社会理事会(ECOSOC)の特殊協議資格を有しており、私は今回、国連NGOの一員として署名式に参加しました。

式典では、署名式の開催に尽力した中満泉国連事務次長が司会を務め、国連のグテーレス事務総長や第72回国連総会の議長を務めるスロバキアのライチャーク外務大臣、条約交渉の議長国を務めたコスタリカのソリス大統領、赤十字国際委員会のペーター・マウラー総裁、今年のノーベル平和賞を受けることになる核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長の5人がスピーチに立ちました。その中で、二つのことが心に留まりました。

一つは、多くのスピーカーが、この条約の成立は「被爆者が導いた」と語ったことです。グテレス事務総長は「被爆者は核による破滅的な被害について何度も気づかせてくれ、交渉を進める精神的な原動力となった」と語り、マウラー総裁は「1945年、原爆投下後の広島で治療を行った赤十字の医者から海外電報を受け取った時から、赤十字運動は、核兵器の禁止を求めてきた。もうあのようなメッセージを受け取りたくない」と述べました。核兵器禁止条約は「再び被爆者をつくらない」という人々の切なる思いが根幹にあることを強く感じました。

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