人と人が出会ってこそ苦や悲しみが癒やされる 法隆寺管長・大野玄妙師

また、十七条憲法の第二条を見ますと「篤(あつ)く三宝(さんぽう)を敬え 三宝とは仏と法と僧となり」とあります。平たく言えば「仏」とは私たちの理想、「法」は規則や計画、「僧」はそれらを実践する仲間のことです。これらが整って世の中がうまく運ぶのですが、理想を求めて計画を作り実行すれば幸せになるという考えが、そうとばかりは言えないと感じさせられたのが、あの東日本大震災です。堤防や道路などのインフラが時間を経て整ってきても、人の心の傷を癒やすことはなかなか難しい。

そんな思いで震災後、いわき市(福島県)に寄せて頂いた時、女性同士の会話が聞こえてきて救われる思いになりました。「〇〇さん、生きてたの? よかったねー。どうしているか、心配してたよー」。ご自身もつらい思いをされただろうに、人を思いやっておられます。

人と人が出会ってこそ、悲しみや苦しみが癒やされていくと思います。祭りや催しを行うのもいいでしょう。和合協調し、復興に向けて尽力されることを願ってやみません。

(9月15日、立正佼成会茨城教会での「彼岸会」の式典中、『生と死と慈悲』をテーマに行われた講演から)

 

プロフィル

おおの・げんみょう
1947年、大阪市生まれ。3歳から聖徳宗総本山法隆寺に住み、小学3年生で得度する。72年に龍谷大学大学院修士課程を修了。93年に法隆寺執事長、95年に発起寺住職に就任し、99年から聖徳宗第6代管長、法隆寺第129世住職を務める。