【認定NPO法人「FoE Japan」・深草亜悠美さん】豊かな環境を未来に残すため、私たちは一丸となって行動を

気候変動を加速させない 企業投資に対し意思表示

――FoE Japanで今、取り組んでいることは?

政府や企業に対して、途上国への輸出事業を含めた石炭火力発電の全廃と、再生可能エネルギーへの転換を提言しています。

また、市民の方に気候変動の現状を伝える活動として、さまざまな団体と協力し、オンラインイベントの開催や署名キャンペーンなどを展開しています。若者もたくさん立ち上がっていて「気候変動は、もはや気候危機だ」という認識を共有し、一緒に声を上げています。

政府にエネルギー政策の転換を求める取り組み

また、気候変動を加速させる事業を行っている企業に投資している投資家に対し、投資を止めるよう求める「ダイベストメント運動」を推進しています。世界では「責任投資」という考え方が広がっていて、地球温暖化対策を行う企業には投資し、非協力的な企業からは引き上げる動きが大きくなっているのです。実は私たちに身近な銀行も、化石燃料企業や事業に巨額の投融資を行っています。そのため、石炭火力開発を行う企業に融資している銀行から預金先を変える行為を通じて、気候変動対策を求めていると意思表示する市民も増えています。

こうしたお金の流れを変える取り組みは、日々の消費活動とも密接に関わっています。家計への影響を考えると安価な食品や物を購入しがちですが、商品の製造、輸送などの過程を知り、地球環境を守る企業の商品を購入する、また地産地消を心がけることも、気候変動を抑えるために有用です。

――地道な取り組みが世界を変えていくのですね

日本では、政治の場で気候変動の問題が取り上げられることはあまりありませんでしたが、長年声を上げ続けた市民、特に近年、多くの若者が声を上げていることから政治の争点になりつつあります。今を生きる私たちが、これまでの経済の仕組みと環境破壊の関係をよく考えて、構造を変えていかないと、取り返しのつかない状況に陥ってしまいます。一人ひとりが持続可能な社会のあり方に関心を持ち、ライフスタイルを転換し、世論を形成して政策も変化させていくことが重要ではないでしょうか。

エコバッグの持参やごみの分別といった個人でできる取り組みは生活に定着しつつあります。個人でできることは他にも、日常生活で使用する電力を、再生可能エネルギーによって供給する電力会社に変える、地産地消、衣服のリサイクル、車の使用を減らすなどたくさんありますが、今の社会のシステムを変えていくために一人ひとりが声を上げていくことも重要です。

誰もが安心して暮らせる世界をつくるため、未来を生きる将来世代に豊かな自然環境を残すために、一緒に行動していきましょう。
(写真は全て、FoE Japan提供)

プロフィル

ふかくさ・あゆみ 1991年、三重県生まれ。「FoE Japan」気候変動・エネルギー担当。東京電力福島第一原子力発電所の事故に衝撃を受け、同団体でインターン活動。大学院卒業後、2016年からスタッフとして気候変動・エネルギー問題、開発金融の課題に取り組む。