WCRP/RfP国際委員会 杉野恭一副事務総長に聞く

各国政府との連携強化 女性、青年の活躍が顕著に

――今回は、確かに女性や青年の登壇者が目立ちました。何か意図があったのですか

大会のパートナーであるドイツ外務省とも協議し、スピーチが連続するのは控え、参加者全体で活発な議論が増えるようにしました。諸宗教の代表のスピーチは必要ですが、各地で活躍している女性の指導者の発言の企画を増やし、青年にもさまざまな形での参画を考えました。

これは大会期間中だけのことではありません。事前にアフリカ、アジア、欧州、北米、南米、中央・北アフリカの6地域で女性、青年の準備会合を行うなど、1年にわたって女性、青年の参画を進めてきました。

また、世界大会開催の3週間ほど前から、ドイツの国際放送局の協力を得て、青年に対し宗教や宗教協力による平和構築の伝え方を学ぶメディアトレーニングを実施しました。その青年たちは、大会の報道にも携わりました。これも新たな試みです。

組織についても現在、国際委員会における管理委員会の女性役員の割合は37%ですが、今後50%に近づいていくでしょう。青年も増えていくと思います。

――これまでの歴史を振り返って今大会の意義とは?

私は、これまでの歩みを大きく3段階に分けることができると考えています。1970年の第1回世界大会によって宗教指導者がつながり、ネットワークが築かれたのが第1段階。第2段階は94年、イタリアのリバ・デ・ガルダでの第6回大会以降です。この大会後に、武力紛争が起きたボスニア・ヘルツェゴビナとシエラレオネに諸宗教評議会が発足するなど、WCRP/RfPは行動志向を強めました。この姿勢は今も続いていますが、今大会は宗教協力の「深化」という点において、宗教指導者だけでなく、草の根で活動している宗教者や信者も参画して、宗教コミュニティー全体で宗教協力を展開していくという第3段階に入る契機になったのではないかと感じています。その象徴が女性の事務総長の誕生であり、草の根で活動している女性や青年リーダーの参画が広がってきた点であったと思います。

暴力的過激主義に対抗し、平和を実現していくには、宗教協力の精神をさらに広めていかなければなりません。その意味で、女性は家庭で子供と触れる機会や地域住民とのきめ細かな触れ合いを得意とする場合が多いですから、そこで宗教協力に必要な相互尊重や寛容の精神を伝えることができます。女性の役割はさらに大きくなっていくはずです。

一方、行動志向ではあるものの、WCRP/RfPは宗教者の集まりですから、宗教協力を通して一人ひとりが信仰に目覚める、他の宗教を信仰する人と触れ合うことで自身の信仰を高めていく、あるいは徳を積むといったことを伝統的に大事にしています。これは、他の組織と一線を画すところです。精神的なもの、霊的なものを大切にして活動するという使命に変わりはありません。

――日本委員会の役割について

今大会の成果について述べましたが、日本委員会はこうした成果の全てに関わっています。青年、女性部会を含め、日本委員会が歴史をつくってきたのは確かです。ですから、さまざまな点で新たな段階に入った国際委員会を今後も強力にリードして頂ければと願っています。

また、日本委員会は今大会にあたって事前に、大会宣言文への「提言」を国際委員会に出されました。各国の委員会で協議し、提出されたのは日本だけです。ウィリアム・ベンドレイ事務総長も、とても素晴らしい提言であると感謝していました。その精神や理念は、採択された大会宣言文に生かされています。