16歳からの〈日本のリアル〉 作家・石井光太氏が『格差と分断の社会地図』(日本実業出版社)を発刊
本紙の連載「現代を見つめて」の著者で、作家の石井光太氏が9月1日、『格差と分断の社会地図』(日本実業出版社)を出版しました。
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経済格差、世代間格差、医療格差、国籍格差、地域格差など、日本にはさまざまな格差がある。しかし、現状はさらに深刻化し、格差は固定化して、人々を階層ごとに断ち切る「分断」になっていると著者は指摘する。階層ごとで見える“世界”は全く異なり、「大半の人たちは自分が生きてきた世界、あるいはそれに近い世界しか知らず、それ以外は想像さえできない」と現代日本の実態を記す。
著者はノンフィクション作家として、事件、国内外の貧困、児童虐待、災害現場などさまざまな現場を取材してきた。一方、国会議員と意見を交わし、富裕層、エリート階層の人たちの意識についても話を聞いてきた。そうした取材から見える日本の実像を明らかにしたのが本書だ。他者への想像力を失った「無理解」の社会で、分断がさらに進めば対立や衝突は必然的に起こるが、その兆候がすでに表れていると警鐘を鳴らす。
本書では、『日本の格差はいかにつくられるか――所得格差』『弱者を食い物にする社会――職業格差』『男と女の不平等史――男女格差』など具体的な七つの格差を取り上げる。社会の実像を浮き彫りにすると同時に、格差によって弱い立場に置かれる人々の心や、人生への影響まで詳述している。
日本の問題点を明らかにし、その上で社会を回復させるために必要な生き方を記した一冊だ。
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『格差と分断の社会地図』
石井光太著
日本実業出版社
1870円(税込)