立正佼成会 庭野日鑛会長 3月の法話から
3月に大聖堂で行われた式典から、庭野日鑛会長の法話を抜粋しました。(文責在編集部)
“昨日”を引きずらない
私たちの体は新陳代謝をして、毎日変わっています。日々新たになっているということです。ともするとそれに気づかないで、昨日(きのう)の連続のように、いろいろなことを引きずって、その日その日を生きることもあるのではないかと思います。
体は毎日、新陳代謝で新しくなっているわけですから、そのことに気づいて、常に心も新たにしていくことが大事であります。
(3月1日)
敬う心と恥じる心
今年、私は信行方針の中で、敬う心と恥じる心を大切にしていこうと述べました。私たち人間は、動物的存在からだんだんと文明、文化を開いて、今日、精神的な存在、文明的な存在といわれるまでに発達してきたわけです。その根本になるのが、「敬(けい)」、敬うという心、そしてそれに伴う恥じる心です。
「敬」とは、人間が生まれたまま、自然のままに満足しないで、どこまでも進歩向上しようとする心です。言い換えれば、常に何か大いなるものに向かって絶えず憧れを持っている、ということです。そういう向上の本能、要求を私たち人間はみんな持ち合わせており、進歩向上を求める時に生ずるのが「敬」の心、敬う心です。
そして、偉大なる人を見させて頂くことにより、自分がいかに至らないかを知る、恥の心を持ち合わせています。
世界の現状を見ますと、大変な世の中になってきていますから、私たちはこうした「敬」とか恥じらいの心をさらに深めて、人間として最も基本的なことを身につけていくことが大切です。
(3月1日)
情操を養う
人間の精神的なものの中で、徳ということが大切であると教えられています。知識はもちろんですが、徳の中でも、人間としての精神的な情(じょう)、情けをしっかりと身につけることが、それ以上に大切なこととして教えられています。
情にも、感情、情緒というものから非常に深い情操までいろいろなものがあります。
とりわけ教育をしっかりと受ける、あるいは教育を施す上では、情操を磨いていくことが人間の成長にとって一番大事なことです。お互いさまに、そのことを心に留めていかなければなりません。
(3月1日)
きょう1日をしっかりと
「一日は一生の縮図である」と言われています。私などはもう高齢になり、人生の終わりに近づいていますけれども、老化などにとらわれないで、毎日毎日、その気持ちを忘れないで一日一日をしっかりと精進させて頂きたいと思います。
好きな言葉の一つに、『今から始まる 新しい「きょう」1日』というのがあります。これは、もうお亡くなりになった教育者の東井義雄先生の言葉です。1日(いちにち)というのは朔日(ついたち)とも読めます。きょうは3月1日ですから、『今から始まる 新しい「きょう」朔日』とも言えますし、また、毎日毎日そのような気持ちで過ごしていく場合の読み方ですと、『今から始まる 新しい「きょう」1日(いちにち)』ということであります。
お互いさまに、きょう1日をしっかりと精進させて頂きましょう。
(3月1日)
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