立正佼成会 庭野日鑛会長 11月の法話から
親の姿勢が子に伝わる
家庭で親がどういう態度を取ってきたかが重要になります。例えば、家で世間のいろいろな問題を変なふうに、悪い方に批評する、そういうところで育てられた子供は、段々成長してくると、世の中のことを批判するようになりがちといわれています。両親がどういう生活をしているかが、子供に大きく影響をするということです。
家庭で父は、子供の「敬」の対象となる存在、敬われるような存在であること、また母は子供をかわいがる、愛することが大事であり、そういう両親のところにこそ健全な子供が育ちます。学校教育は学校の先生がおられますし、他の生徒もいますから、子供はそうした中で鍛えられます。ですから、私たちは、家庭のあり方をしっかりと心得ていかなければなりません。人間を敬うとか愛するという心が、家庭の中で培われていくのですから、子供の将来にいい影響が出るように、家庭を大事にして子供の人格形成に努めていくことが大事です。
国家、民族の興亡も家庭の中にその基があるといわれています。そのような意味で、家庭をしっかり見つめて、子供の人間形成、人格形成を図っていきたいと思います。
(11月15日)
「高齢者の知恵」と言われるように
老後をどう生きるかは、とても大事なことです。大半の生き物は、生殖年齢を終えて、次の世代に遺伝子を伝えると死んでしまいます。そういう動物が多い中で、人間はシャチやクジラの一種と同じように、子供が生まれてからも長生きをします。そうなったのは、ホモ・サピエンス、すなわち現生人類が、種を温存する上で大切だからだと分かってきたようです。子供世代の育児を手伝うために、長い老後が用意されているという見方もあります。
家庭にあって、三代が一緒であれば、両親が忙しい場合は、おじいちゃん、おばあちゃんが幼い子供を教育してくれます。大事なことは、私たちのような高齢者は、人生を長く生きてきましたから、ちょうど高い山の上から全体を見下ろすように、人生を見られるということです。いろいろ学んできていますから、世の中のことがよく見えます。
若い時代のように世界を分析的に見すぎないで、俯瞰(ふかん)的に、統合的に見て、大事なことをしっかりと注意することもできます。私たち人類が今日(こんにち)まで栄えてきたのは、そうした高齢者の役割があってこそのことであり、そのおかげとも言えるのだと、分子生物学者の方々も述べられているようです。
高齢者だから役に立たないということではありません。高齢になればなるほど、そうしたことをしっかりと心得た高齢者になることが、家庭のため、国のため、また人類のためになるのです。老後も大事にして生きていくことが肝要です。
(11月15日)