年頭法話 立正佼成会会長 庭野日鑛

立派な国を打ち立てていこうという願いと行動を一人ひとりが創造的に真剣に

こうした幼少年・青年達の育成と共に、「令和四年次の方針」では、「さらに、日本の伝統を受け継いで、如何にして立派な国を打ち立てていくか」という一文を加えました。

日本は上代(じょうだい)の頃、国名を「大和(やまと)」と定めています。「大和(やまと・だいわ)」は、「大いなる平和」「大いなる調和」を意味し、その精神を終始一貫することを、国家的な理想としてきたのであります。

また、かつて聖徳太子は、「和を以(もっ)て貴(たっと)しと為(な)す」という言葉を十七条憲法の第一条に掲(かか)げられました。この言葉に込められた精神は、当時の国づくりの規範(きはん)であっただけでなく、いまも日本人の国民性、精神性に深く息づいています。

さらに、日本の特徴である伝統と歴史は、天皇制にあるといわれています。

日本の皇室には私の姓、苗字(みょうじ)がありません。いつの間にか私姓のない公家・公室となっていて、それは常に国民と一つになってこられた表れであります。建国以来、日本人が、さまざまな困難と直面しながらも、日本特有の豊かな文化、伝統を築いてこられたのは、いつの時代も天皇が国の柱石(ちゅうせき)となり、そのもとに国民が「和」となって努力してきた結果と申せましょう。

一方、戦後の日本は、経済的な利益や合理性を追求し、日本の歴史、伝統、そこで培(つちか)われてきた精神がないがしろにされ、忘れられてきたとさえ指摘されています。

いま、世界に目を向けると、自国第一の考え方が強くなっています。その中で、日本の伝統に込められた「和」の精神を十分に生かし、世界の中の日本として、さまざまな役割を果たすことが大事であると思います。

それには、何より自分の国がしっかりしていなければなりません。立派な国を打ち立てていこうという願いと行動を、政治家に任せておくだけでなく、国民一人ひとりが、さらに心を広げて、創造的に真剣に務めてまいりたいものです。

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