立正佼成会 庭野日鑛会長 9月の法話から

全ての人が“一列横隊”

私は、平成3年に開祖さまから法燈を継承しまして、その直後に皆さんにお話ししたことを、今思い出しています。

私たちが生きる上で、「人生の専門家」という人は誰もいないのではないか、と思います。お釈迦さまとか孔子さまとか、世界の「四聖」といわれる方々は専門家といってもいいかもしれませんが、その方々も、自分が「人生の専門家」であるとは思っておられなかったでしょう。一生懸命に生きる間に、学び、悟ったことが後世に伝わってきたのであり、人生を生きる上で「自分は専門家」だと言える人は一人もいないのです。ですから、人生においては、万人全てが“一列横隊”で進んでいるのだと話しました。

今も全くその通りであります。私は人より優れて見本になるようなことも何もできませんけれども、会長というお役を頂いて、今いるわけです。
(9月15日)

画・茨木 祥之

智慧に学び、わが身をよくする

「私淑(ししゅく)する」という言葉があります。尊敬する人が過去の人や遠方の人であるために、直接には教えを受けることができないけれども、著書などで間接的にその人を模範として慕い、学ぶという意味です。中国の孟子という方が初めてこの「私淑」という言葉を使われたそうです。

「私淑」の「淑」は、「淑女」といわれますように「よくする」という意味です。「私淑する」とは、人の言葉や行動、著書、教えによって「秘(ひそ)かにわが身をよくする」ということであります。

私たちは、世界の「四聖」といわれる方々の後輩として、そのような人間となることを目指して、私淑して、常に学んできて、今日(こんにち)の文明、文化があります。素晴らしい働きをされた仏さまのように、世のため人のためにという心を持って働かせて頂きたいと願い、私たちは、今、菩薩行の精進をさせて頂いているのです。
(9月15日)