立正佼成会 庭野日鑛会長 5月の法話から

自らを活性化する

私たちの脳が活発化するには、音読が良いのだそうです。ですから、ご供養以外でも、自分の好きな本の文句などを声に出して読むことが認知症の予防や改善になるのだといわれています。

私もよく、本を読んだ時に好きな言葉をメモしておいて、それを清書して、朝など静かな時に、声に出して読みます。これはご供養と同じようなことで、自分の出した声や言葉が、自分の耳に聞こえてきて、とてもいいものです。このことも、心を育てるという大きな役割を果たしているのだと思います。

自粛生活の時こそ、自分のいのちを大切にする習慣を身につけていきたいものです。ご供養や音読、声を出して息を深くするということをどんどんして、皆さんに元気よく過ごして頂きたいと思います。

宮沢賢治の「雨ニモマケズ」という詩の最後のところに、「ミンナニデクノボートヨバレ ホメラレモセズ クニモサレズ サウイフモノニ ワタシハナリタイ」とあります。私たちが家で音読をしたり、ご供養をしたりしても、別に人に褒められるわけでもありませんが、それでも、「サウイフモノニ ワタシハナリタイ」ものです。

こうしたことを通して、私たちは自分で自分を育てていくのです。なかなか人さまとお会いできない、話ができない、こういう時こそ、ご供養や音読をして、息を深めて、元気になっていく――コロナ禍が終息した時には、また元気に皆さんとお会いできるように、今こそ自らを鍛えて活性化していきましょう。
(5月15日)

画・茨木 祥之

常に求道心を持って

この世の中は、いろいろなことが起こります。次々と新しいこと、分からないことが、どんどんやってきます。ですから私たちは、世の中のことが全部分かることはないわけです。

「永久の未完成これ完成である」(農民芸術概論綱要)という宮沢賢治の言葉が残っています。次々と新しいこと、知らないこと、分からないことが増えてきます。たくさん知ればいっぱい分かってきそうですが、知れば知るほどまた疑問も増えてくるので、完成することは、まずあり得ません。私たちが物事を全て分かることはあり得ないわけです。

そういう意味で、「永久の未完成これ完成である」のであり、いつも求めていこうとする「求道心」があることが、一つの完成だということです。

「精進、精進、死ぬまで精進、生まれ変わったらまた精進」。これが、仏道修行者の大事な心がけであるのです。
(5月15日)