立正佼成会 庭野日鑛会長 9月の法話から

画・茨木 祥之

進化をもたらす読書

私たちには、肉体にとっての栄養素だけでなく、心の栄養素が大切です。いろいろな偉人の伝記、聖人君子の書物などを読むことによって、人生とは何かといったいろいろなことが学べます。読書をすることは、ひと口で言うと、「心の食物」を摂(と)ることです。

ですから、最近のように活字離れが進み、(インターネットなどで)ほとんど本を読まなくても、何でも分かってしまう世の中ですと、心の栄養素が不足してきます。

今こそ、読書が大切です。私たちは毎日、読経供養をしていますから、これも読書には違いありません。毎日、読経することによって、そこから新たなことを受け取ることはあると思います。しかし、同じものだけですと、マンネリ化してしまい、何も受け取ることができない状態にもなってしまいます。やはり、昔から素晴らしい本だと言われているような名著を読むことが、私たちの心の食物、栄養として大事なことです。

私たちは感動することによって進歩し、進化していくことができます。物事がマンネリ化してしまうと、なかなか進歩せず、進化しません。世界の偉大な発明や発見も、みんな感動から始まったといわれますから、私たちも人間として、自己を進歩、進化させるためには、読書をして感動する、人の話を聞いて学び、感動したことを実践することが大事です。そういうことがあって初めて、私たちは進歩、進化していくのです。

私たちは日々、自分を新たに進化させていくことを目指しています。「新しい」とは、生命のみずみずしい姿のことを言います。人間は、常に新鮮でなければならない。新鮮であるためには、やはり、私たちが真理・ご法を学んで、真理・ご法に順(したが)って生活することがなければなりません。人間としての深い道を学ぶことがないと、本当の人間の進化はないと言われるのです。
(9月15日)