年頭法話 立正佼成会会長 庭野日鑛

家庭は、人格形成の根本の場。親の姿が、子供に決定的な影響を与える

「お山」(長沼妙佼脇祖旧私邸)で

そして、現実に人を育成していく上で、特に大切にすべきことは、幼少年期からの関わり、つまり家庭での教育であるといわれています。

人間の脳は、三歳ぐらいまでに、大人の機能の八十%まで成長し、五、六歳までには、性格の型(かた)が決まるそうです。記憶力、注意力は、十二、三歳頃が最も旺盛で、ほぼ十六、七歳で人間ができ上がるということです。

家庭は、人格形成の根本の場です。本会会員に当てはめるならば、親が、朝夕の読経供養やご宝前へのあいさつを通じて、ご本尊に参り、感謝を捧げる姿は、子供に決定的な影響を与えます。また子供が、親の明るく、優しく、温かい心に包まれていたならば、自(おの)ずと豊かな人間性が育まれるに違いありません。

逆に、日頃、親の心ない言動を見聞きしている子供たちは、自然にそれを真似(まね)て、受け継いでいくといわれます。また子供を力ずくで思い通りにしようとしても、その時は従ったように見えても、反発心が募り、心は離れるばかりです。

地面に曲がった棒を立てておいて、影を真っ直(す)ぐにしようとしても、直るはずがありません。棒を真っ直ぐに立てさえすれば、自然に影が真っ直ぐになるのが道理です。

わが子の言動は、日頃の親の姿を鏡のように映し出します。社会における青少年の諸問題もまた、大人の世界の矛盾(むじゅん)を反映しているといわれます。

大事なのは、子供に期待していることを、まず親自身、大人たちから始めることです。

東洋思想の泰斗(たいと)として知られた安岡正篤先生のご著書に、こんな言葉があります。

「父は子どもの尊敬の的でありたい。母は子どもの慈愛の座でありたい。なぜかなら、家庭は子どもの苗代だから」(引用元『日本の父母に』、安岡正篤著、致知出版社)

稲の苗を育てる苗代が整っていなければ、秋の収穫など決して望めないことを心すべきでしょう。

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